罰ゲーム化する管理職で生き抜く術「部下の異変に気づいたらどうする?」――部下やチームを立て直す2つのアプローチ

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いい睡眠が取れなくなるのが一番の危険信号だということで、最近寝不足ではないですか? と花岡さんに確認してくれたそうなのだが、確かに最近よく眠れていません、という返事が返ってきたとのことだった。

これは何とかしなくてはいけない……。

フィードバックとハグを使い分ける

「フィードバックを3つと、ハグを3つ。花岡さんに対して直近の3カ月でしてあげたものを、それぞれ教えてもらえますか?」

「ハグ? ハグとはどういうことですか?」

「フィードバックは軌道修正。メンバーが間違った方向に進みそうになった時に、マネジャーがそれを正してあげること、でしたよね。ハグはそれの正反対で、メンバーが正しい道を進んでいる時に、それをエンカレッジしてあげることです」

「『エンカレッジ』とは勇気づけるということですよね。つまりはほめたこと、ですかね」

「この後紹介していきますが、エンカレッジにはいろいろな手段があります。ほめる、もその1つですが、ほめる1つとっても、そこにはさまざまなアプローチがありますよ。人前でほめる、個別にほめる、他の人にその人へのほめ言葉を伝えて、それが間接的に伝わるようにする、などなど」

そう言われていくら考えてみても、僕は花岡さんに対してしてあげた「ハグ」を思い出すことができなかった。フィードバックもしていなかったが、それはそもそも花岡さん自身が、滅多に軌道から外れたりはしない人だったからなのだと思う。

ほかのメンバー、特に塚本さんや川田さんには、労をねぎらったり感謝を伝えたりほめたりすることがあるにはあった。しかし、そこに正しい道を行く塚本さんや川田さんを勇気づける、という意図は正直あまりなく、ただの「ガス抜き」としてやっていた、というのが実際のところだ。

僕はメンバーの軌道修正がしっかりできていなかった。

しかしそればかりでなく、正しい道を行くメンバーを勇気づけることも、同じようにできていなかったということか。それではやがてチームはバラバラになって、それぞれが道に迷ってしまうではないか……。

「メンバーには、時に軌道修正と同じくらい勇気づけが必要です。それは、プロジェクトの成功やメンバーの成長につながる正しい道には、しばしば厄介な障害物があるからです。誰かの勇気づけがなければ、メンバーは石につまずいて転んだり、岩を乗り越えるのをあきらめたりしてしまうかもしれません」

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