罰ゲーム化する管理職で生き抜く術「部下の異変に気づいたらどうする?」――部下やチームを立て直す2つのアプローチ

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塚本さんが成績でトップを走る優等生だとすると、花岡さんは人柄にも秀でた生徒会長のような存在だった。

塚本さんや川田さんのように人間関係で手を焼くことはないし、本間さんのように頭にクエスチョンマークが浮かぶ瞬間もない。

そんな花岡さんは、まだ腹を割って話せる仲というわけではなかったが、僕にとってはすさんだ心をふと落ち着かせてくれるコーヒーのような存在でもあった。そんなわけで、花岡さんとは、僕としてはできることならもっと距離を縮めたいと考えていた。

定例で顔を合わせる機会があったが

しかし、花岡さんをサシ飲みに誘うのは少し抵抗があった。新卒からのキャリアがずっと外資、ということもあり、ドライな人間関係を好むのだろう、という印象をどこかで持っていたのだ。塚本さんほどではないにせよ、仕事は仕事、という割り切った関係を職場では求めているのだろうな、と。

ランチに誘うのも何となく気が引けた。毎日ではなかったがお弁当を持参していることがよくあり、食事に気をつけているのか、食費を気にしているのか、そこには何かしらの事情がある気がしたのだ。

花岡さん含むファイナンスチームとは、VCの現場担当も入れた定例ミーティングを週一で実施していた。

人事・総務は元々2人のメンバーがいるだけだったが、彼らとも定例会を実施しており、そこに担当役員となった花岡さんも加わってもらっていた。つまり、花岡さんとは週に2回定例で顔を合わせる機会があったわけだ。

業務関係の情報交換はそこで十分にできていたので、さらに追加で時間を押さえるのもうとましがられるかなと思い、花岡さんとは経営陣では唯一1オン1を設定していなかった。

花岡さんの様子が少しおかしい。

ランチの時にそう教えてくれたのは川田さんだった。思い詰めたような顔をしていることが多く、前職についての自虐的なジョークも最近は言わなくなった、と。

前職についての話をしなくなったのは、転職して時間も経ち、うちの会社に馴染んできた証拠なのかなとも考えた。しかし、そういわれてみると、僕にとっては花岡さんのトレードマークともいえる、あのはにかみ顔を確かにしばらくの間見ていない。

川田さんは、休職には至らなかったものの過去に一度メンタルを壊しかけているらしく、今の花岡さんはその時の自分とよく似ているという。

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