市場の頼りは今やトランプ大統領よりもベッセント財務長官、急反発後の過熱感が解消した日本株は買ってもいい
さらに、今2025年度の日本企業の業績は、当初「円高で増益率は低下しても減益にはならない」などと言われていた。だが、今や残念ながら減益予想が主流だ。こうなるとPER(株価収益率)との「相談」が必要になり、「15倍台(先週末は15.35倍)では、すぐに買い戻しは入らない」という見方もある。
カギ握る「ベッセント・プット」、外国人投資家にも期待
さて、スコット・ベッセント財務長官は、ヘッジファンドマネージャーとしての経歴を持ち、以前はあの伝説的投資家ジョージ・ソロス氏(94歳で健在)のソロス・ファンドのマネジメントをして活躍した。
市場は、大幅下落に直面した際に政策の軌道修正や市場支援策を講じて株価を下支えするだろうという「トランプ・プット」に期待していたが、現実は「トランプショック」となり、世界経済の不透明感のもとになっている。これを修復しているのがベッセント財務長官で、兜町では今や「トランプ・プット」に替わり「ベッセント・プット」に期待している。
重要な外国人投資家の動向をみると、4月は財務省ベースで3兆6759億円の買い越しと、月次で過去3番目の買い越し額となったが、この勢いは5月に入っても続いており、5月11日~17日の期間で7149億円の買い越しとなっている。また、東京証券取引所ベースでも6232億円の買い越しと、実に7週連続の買い越しだ。
翻って欧州をみると、先週発表の5月の総合PMI速報値が48.6と、4月の50.1を下回るなど必ずしも景気が好調とは言えないドイツにおいて、代表的株価指数であるDAX40がこのところ連続して史上最高値を更新していたのは、結局のところ、アメリカから流れた外国人投資家の資金が入ったからだ。
日本も外国人投資家に見直されたとすれば、下落したこの水準では、まず買って見るところだ。ちなみに、アメリカ5月の総合PMIは52.1と、4月の50.6を上回っている。トランプ関税で減速すると言われるアメリカ経済だが、いちばん新しい経済現場の様子を表す5月のPMIは悪くないわけで、「減税」も、景気浮揚期待が財政悪化問題を上回って来ると感じる。
これはそのまま、日本の政局につながって来る。7月は日本の参議院選挙が予定されているだけでなく、トランプ関税の「90日間の猶予」も7月8日で終わる。ここは何かあったら株価を下支えする「ベッセント・プット」に期待して、買いから入るところではないか。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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