“女性の人生”を考える映画4選、夫婦愛に格差社会、PMSや余命宣告……自分を後回しにしがちな令和の女性を前向きにしてくれる作品を紹介
社長をはじめ、一緒に働く人々は皆穏やかで、彼女のPMSの症状も受け入れてくれるのだ。

最近栗田科学に転職してきた山添くんは、パニック障害を抱えている。山添くんは、パニック障害が回復したら前職に戻るつもりで、“お菓子のお裾分けばかりしていて向上心がない(ように見える)”同僚たちとは馴染もうとしない。しかも、炭酸水を飲んでいると、PMS中の藤沢さんに「炭酸の音がうるさい!」とキレられる始末。
ある日、山添くんは仕事中にパニック発作を起こしてしまう。山添くんの薬を拾った藤沢さんは、過去にPMS治療で同じ薬を飲んでいたことがあり、彼の症状に気づいて歩み寄ろうとする。
「PMSはパニック障害に比べて大したことないくせに、一緒にしないでくれ」と壁を作っていた山添くんだったが、発作のせいで美容院に行けず伸び放題になっていた髪の毛を藤沢さんに切ってもらったことから、PMSについて理解を深めるようになる。
本作品は、藤沢さんと山添くんを安易に恋愛関係に仕立て上げないのがまた良い。生きづらさを抱える人々の“シェルター”のような栗田科学には、「こんな職場あったらいいのにな」と思わずにはいられない。

物語の終盤、栗田科学は移動式プラネタリウムを開催する。そのプラネタリウムの台本は、社長の亡弟がカセットテープに吹き込んだ言葉、「夜明け前が一番暗い/喜びに満ちた日も、悲しみに沈んだ日も、地球が動きつづける限り、必ず終わる。そして、新しい夜明けがやってくる 」を元にして作られた。「夜明け」を待つ藤沢さんと山添くん、そして観客の背中をそっと押してくれる作品だ。
大切な人に「余命宣告」するべき? しないべき?
最後にお勧めしたいのは、『フェアウェル』(2019)だ。ニューヨーク在住の中国系アメリカ人・ビリーは移住して久しく、両親とも英語で会話している。そして、中国に住む父方の祖母・奶奶とは今でも頻繁に連絡を取り合う大の仲良しだ。ビリーは作家を目指してアルバイトで生計を立てているが、万年金欠状態。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら