“女性の人生”を考える映画4選、夫婦愛に格差社会、PMSや余命宣告……自分を後回しにしがちな令和の女性を前向きにしてくれる作品を紹介
社会階層も住む世界も違う、決して交わることのないはずの2人が、1人の男を介して邂逅する。

男は、名門生まれの弁護士、青木幸一郎。華子の許嫁でありながら、美紀とは大学時代の同級生で、男女の関係を持った仲だ。幸一郎を巡って華子と美紀が対立し、格差社会を象徴する2人の間に深い分断が生じる……という展開は、ありがちに思えるかもしれないが、本作はそんな陳腐な作品ではない。
華子は一見とても恵まれているが、ただの天真爛漫なお嬢さまではない。生まれ育った環境に蔓延る「女の幸せは結婚して家庭に入ること」という旧弊的な価値観に囚われながら、違和感と息苦しさを覚えている。
美紀は金銭的困窮に加えて、実家の父親や幸一郎のマチズモ(男性優位主義)な言動に傷つき、男尊女卑の社会に呑み込まれそうになっている。しかし、ラウンジ時代の客に職業を紹介してもらい、持ち前の頭脳とバイタリティを活かしてキャリアアップを実現している。
華子と美紀の対立を避けるべく活躍するのが、華子の学生時代の友人で、美紀とも仕事を介して知り合ったバイオリニストの相良逸子だ。逸子も、華子同様に良家のお嬢さまだが、結婚には価値を見出しておらず、自らの才能でキャリアを切り拓いているという、格差社会の“橋渡し”的な人物だ。
華子は幸一郎と念願の結婚生活を実現した後に、美紀は幸一郎への未練を断ち切った後に、本当に大切なものに気づく。現実世界でも、女性同士が男性をめぐって「対立」「分断」するケースは少なくないが、女性同士の相互理解があれば、無用な対立や分断は避けられるのかもしれない。
PMS、パニック障害…生きづらさを抱える人の理想の職場
次は、『夜明けのすべて』(2024)を紹介しよう。藤沢さんは、普段は穏やかな人物だが、PMS(月経前症候群)の時期だけはイライラが抑えられず何かと攻撃的になってしまう。新卒入社した職場はPMSが原因ですぐに辞めてしまったが、家庭用プラネタリウムなどを生産販売する栗田科学に転職し、長続きしている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら