“女性の人生”を考える映画4選、夫婦愛に格差社会、PMSや余命宣告……自分を後回しにしがちな令和の女性を前向きにしてくれる作品を紹介

さらに12年後。ノラは、ヘソンと距離を置いた直後に出会ったユダヤ系アメリカ人の作家・アーサーと結ばれ、ニューヨークで結婚生活を送っていた。アメリカのグリーンカードを取得し、キャリアも築き、「移民の夢」を叶えたノラのもとに、今もソウルで暮らすヘソンがやって来る。
ヘソンは結婚しておらず、ガールフレンドとも距離を置いていた。「平凡な会社員、平凡な人生」を自認するヘソンは、ノラに未練があるようだ。一見、イニシアチブを握っているのは、結婚もキャリアも手に入れたノラの方にも思える。
しかし、ヘソンと再会した感想を夫に聞かれたノラは、「彼は韓国的な男らしさに溢れてて、そんな彼を見てると自分は『韓国的』ではないと感じる」と答える。そして夫に、「君は韓国語でしか寝言を言わない」と指摘されるのだった……。

“past lives”とは、物語のキーワードである韓国語“인연”(イニョン/前世の意)の英訳。ノラとヘソンの最後の会話、そしてその後のノラの反応は、「初恋」が人生に及ぼす影響の大きさを表している。それと同時に、鮮度が薄れつつある「夫婦愛」のありがたみも、思い出させてくれるかもしれない作品だ。
残酷な格差社会でも、無用な「対立・分断」は避けられる
続いて紹介するのは、『あのこは貴族』(2021)だ。都内の高級住宅街で何不自由なく育った榛原華子と、地方生まれで経済的に恵まれているとは言い難い時岡美紀。華子は、移動は全てタクシーのお嬢さま。一方で美紀は、都内の名門大学に進学したが学費を捻出できず、ラウンジでバイトをしても追いつかずに結局中退してしまった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら