「タワマン住みの"新住民"は町内会に入らない。でも、祭りには来る」…。タワマンの聖地・武蔵小杉、激変した街に"旧住民たち"が語ること

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「以前はここ3丁目にも一軒家がたくさんあったけど、いまじゃほとんどなくなってしまったね。家を売ってタワマンに入る住民も多い。

そんな人たちは町内会にそのまま籍を置いてくれてたけれど、タワマン全体が町内会に入ってくれることはないんだ。こっちとあっちじゃまったく別の環境なんだね。

昔から住んでる人たちは高齢化が進んでいるから、町内会員はお年寄り世帯ばかりになっちゃった。子ども会はもう10年も前に解散しましたよ。町内会のほうも数年前からこのままじゃどうしようもないってことで、2年くらい前から解散に向けての話し合いをはじめたんです」

そんな話を聞いている最中に、区役所から電話が入った。何やらやり取りをして、受話器を置いた五十嵐さんが「自主防災組織からの退会書類を出してくれだってさ」とつぶやいて苦笑いした。

タワマンへ移り住む地元住民たち

今回、街をうろついて、いろんな人に話を聞いた。タワマンの新住民と、元から住んでいる旧住民の交流はほとんどないそうだ。

タワマンだけじゃない街
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それまで生きてきた背景がまったく違うので、混じり合いにくいのだろう……漠然とそう感じたのだが、ある旧住民の言葉を聞いて、その考えが少し変わった。

「このかいわいは、昔は長屋みたいな家がずらっと軒を連ねていて、ご近所付き合いの盛んな土地柄だったんですよ。そんな地元の人でも家を売ってタワマンに移るケースもある。

そうすると、向こうに移ったとたんツンとして、私らとは目も合わせなくなるような人も中にはいる。タワマンにはそんな、妙な力があるんだな」

高いところから見下ろすと、親しんだ街や人が別ものに見えてくるのかもしれない。

「見下ろしているうちに、見下したくなる」

自分自身に同じことが起きたとき、そうならない自信はない。それはそれで、とても人間くさいな、とも感じた。(編集:國友公司)

【もっと読む】品川から2駅、知る人ぞ知る「処刑場があった街」の"実態"  罪人が渡った「なみだ橋」の残る街が、都心なのに再開発されない事情 では、街に詳しいライターの末並俊司さんが、立会川を探訪。豊富な写真とともに、その魅力をお伝えしている。
末並 俊司 ライター

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すえなみ・しゅんじ / Shunji Suenami

福岡県生まれ。93年日本大学芸術学部を卒業後、テレビ番組制作会社に所属。09年からライターとして活動開始。両親の自宅介護をキッカケに介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)修了。現在、『週刊ポスト』を中心として取材・執筆を行っている。

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