けっして"年寄りの与太話"なんかではない! エッセイストが教える「自分史」のスゴイ効能3つ

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そのときは「普通」でも、後からではなかなか知り得ない、体験者ならではの情報が詰まっている。その点で、貴重な資料といえるのです。

その文章が、子から孫へと長く読み継がれていくならば、今述べた資料的な価値と、そこから導き出せる指針の価値は、高まるでしょう。

人生を「ありのまま」に振り返って書けばOK

とはいえ、「今後の資料的価値が上がるようなことを書こう」などと考える必要はありません。あなた自身はあくまでも、人生をありのままに振り返って書けばOK。自分では「当たり前すぎてつまらない」と思い込んでいることに対して、読み手が価値を見いだすものだからです。

『「人生で大切なことに気づく」ための文章術 自分のことを書いてみる』(アスコム)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

今述べたこととは、少し違った意味での価値もあります。つい先ほど挙げた例は、「読み手は未体験、書き手のあなただけが体験した内容」に相当します。その一方で、「読み手も書き手も体験しているけれど、資料・教訓としての価値がある」内容も存在します。

コロナ禍で体験したことを思い出してみてください。

「緊急事態宣言、まん延防止等重点措置って結局、何回出たのだっけ?いつからいつまでだっけ?」

「学校が休みなのは、どのときだっけ? 会社はいつからリモートが始まったのだったっけ?」

「マスク不足で、ひと箱5千円とかのときがあったな。いつ頃から余りぎみになったんだっけ?」

早くも記憶が不確かになっていることでしょう。人間は忘れやすい生き物です。そのときは「普通のこと」でも書いておけば、後になって思い出せない自分や、次の世代の人にとって何らかの「ため」になります。

岸本 葉子 エッセイスト

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きしもと ようこ / Yoko Kishimoto

エッセイスト。1961年、神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学教養学部卒業。会社勤務、中国留学を経て文筆活動に入る。暮らし方や年齢の
重ね方、食や旅を題材にしたエッセイを多く発表。同世代の女性を中心に支持を得ている。主な著書に『60代、不安はあるけど、今が好き』(中央
公論新社)『ゼロから俳句 いきなり句会 毎日と人間関係がラクになる、「初めての人」の俳句入門』(笠間書院)『エッセイの書き方─ 読んでもらえる文章のコツ』(中公文庫)などがある。

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