そして50歳のとき、私は走り始めました。これも雑誌の企画で「ニューヨークシティ(NYC)ハーフマラソンを走りませんか?」と依頼されたからです。ストレッチのおかげで体の調子がよくなってきていたので、何かにトライしてみたいと思っていた矢先だったこともあり、「走ります!」と即答しました。
練習初日は笑っちゃうくらい走れなくて、電柱2本分の距離をようやく走れたくらい。でも次の日は電柱4本分、その次の日はあの角まで、そして海まで、と少しずつ距離を延ばしていくうちに、NYCの本番では完走することができました。
ランニングはそのあとも10年続け、「三日坊主の自分」「長続きしない自分」というマイナスの自己イメージを払拭することができました。ついでにいえば、走っているうちに、更年期の不調もどこかに消えていました。
50代の半ばになり、バレエへの憧れが再び頭をもたげてきました。でも、その前に「筋肉の使い方を覚えよう」と、ピラティスに通い始めることにしました。
ところが、甘くはなかった。「この筋肉を動かして」とか「その筋肉ではなくて」と言われても、「その筋肉って、どの筋肉?」という状態。でもいつしか、全部同じに思えた筋肉も、一つひとつ意識して動かせるようになっていました。
念願だったバレエを始めて
そんなあるとき、同世代の知人がバレエを習っていると聞いて紹介してもらい、念願のバレエを始めることになったのです。このとき、続けていたランニングをやめました。時間のない大人には「あれも、これも」ではなく、「これだけ」に絞ることも必要です。
今は週2回ほど教室に通い、毎回、汗だくになってレッスンを受けています。発表会に出たいとか、何か目的があるわけではなく、ただただ音楽と一体になって踊ることに喜びを感じるのです。もう少し踊れるようになりたい、ただそれだけです。
「大人になってからバレエをするって、すごいですね」と感心されることがありますが、「やりたい」と思っていること、ワクワクすることをしているだけのことです。
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