「目についたものはすぐ片っ端からやる」35歳でADHD発覚、”うまく付き合う”仕事術を紹介《後でやろう》は結局忘れるだけ!

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ではこれらの「弱み」を「強み」に変換するにはどうすればいいのか?

「一つのことに異常なまでに没頭してしまう」特性はクライアントから依頼された題材について徹底的にリサーチし、細部までつくり込んだイラストを制作する姿勢につなげました。

例えば、バスの車内の細かいディテールを描いて欲しい、という依頼があれば、提供された資料写真をもとにイラストでは見えないところまでつくり込んだ3Dモデルを起こし、それを元にマニアでも納得のいくようなイラストを制作。クライアントよりお喜びの声をいただいたこともあります。

一度スイッチが入れば過集中で寝食を忘れて制作に没頭することができるので、集中力を要するディテール描き込みに活かしました。

実はこれは、会社員時代の「夜なかなか寝付けないのに、朝は決まった時間に起きなければならないのが大の苦手」という弱点の裏返しです。以前は就業時間のリズムに無理やり合わせようとしても、やっとエンジンがかかってきた頃には終業時間になってしまうということがよくありました。

しかし、フリーランスになってからはこれを逆手にとり、「寝たいときに寝て、起きたいときに起きる」という働き方を確立しました。一般的な9時から17時までのような労働時間にこだわらず、昼夜逆転でもいいのでとにかく自分の集中力が最も高まる時間帯に作業するように切り替えました。

これにより、気分がのってスイッチが入るまでに時間がかかるという特性とうまく付き合いつつ、ゾーンに入れば徹底的に没頭できるという強みでクオリティの高い作品を効率的に制作できるようになりました。

また、移り気な特性を活かして、さまざまな新しい表現技法や画材にチャレンジする原動力にしてきました。一つのスタイルに執着せず、「まずはやってみよう」と多動的に試せる行動力は、スタートアップ的なノリも必要なフリーランスとしての大きな強みになってきました。

このように、自分の弱点をクリアに分析して、一つひとつを“武器化”していったので
す。

ADHDとうまく付き合う仕事の進め方

弱みを武器にするに際して、ADHDに特有の「忘れっぽさ」「気が散りやすい」という特性は、クライアントワークにおいて致命的なミスを引き起こす可能性があるので対策が必要でした。適切な工夫によって、いわば自分に対する「セーフティネット」を張っておくのです。

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