30年経っても忘れられない「胸が小さいね」。職場のセクハラ問題、 “本人が笑っているから大丈夫”では決してない

職場でセクハラを受けた人のうち、半数以上がそのあと何も行動を起こしていないという調査結果がある。
その場では軽く受け流し、誰にも相談せず嫌な記憶は早く忘れようとするが、時間が経ってもその傷は癒えることはない。AERA 2025年4月28日号より。
言い返すことができない自分が後ろめたい
「セクハラ防止のための配慮義務」が法制化したのは1997年だ。
その頃、公務員として働いていた埼玉県在住の自営業女性(47)の職場では、まだ「セクハラ」という言葉は浸透しておらず、ハラスメントに関する内部通報の体制も整っていなかったという。
「嫌な出来事は、記憶から消していっているのであまり覚えてないのですが……」と前置きした上で、忘れられないエピソードを話してくれた。
「当時40代の男性職員から他の人がいる前で、胸がないことを茶化されました」
また、別の課の男性に相談事をしたら好意があると勘違いされたこともあった。対等に考えてもらえないことにやるせなさを覚えたと振り返る。
法制化から30年近くが経つ今も、容姿を揶揄されたという。
「50代前半とおぼしき男性から胸に関する不快なことを言われました。その時は笑ってやり過ごすしかなくて。言い返すことが本当は大事だと思うので、それができない自分が後ろめたいです」