「SNSで本名は使わない」「顔出し投稿NG」 Z世代の意外な”SNS観”と親が意識すべき重要事項 「SNS禁止法」が日本で制定される可能性は?

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日本でSNS禁止について学生などに聞くと、「反対」とする意見が多い。それはもっともな話で、若者たちはSNSでのみつながっており、たとえ親しくても他の連絡手段、電話番号やメールアドレスなどは知らないことがほとんどだからだ。

同じ学校の友人同士でさえ、SNSが使えなくなるといとも簡単に連絡が取れなくなってしまう。ましてやネットだけでつながった関係では、そもそも関係自体が切れてしまう可能性も高いだろう。

また、彼らは日々の情報のほとんどをSNSやインターネット経由で得ている。筆者が教える成蹊大学の受講生に対してこの4月にアンケートを採ったところ、情報収集手段のトップはInstagram(77%)であり、テレビ(62.8%)を上回っている。次いで「YouTube」(58.8%)、「X」(54.1%)、「TikTok」(50.7%)となっている。

「Yahoo!ニュース」(37.2%)、「LINEニュース」(34.5%)も使われているが、「ラジオ」(13.5%)、「新聞社のニュースサイト」(7.4%)、「新聞(紙)」(4.7%)など、従来のメディアは軒並み利用率が低い状態だ。彼らが求める“今起きていること”や”流行していること”などの情報は、従来のメディアから得ることは難しい。

近年は、大人においてもSNSの利用率が高まっている。総務省情報通信政策研究所の「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(令和6年6月)によると、全年代における各SNSの利用率は、LINEが94.9%、YouTubeが87.8%、Instagramが56.1%、Xが49.0%などとなっている。

大人世代もSNSから情報を得ており、LINEなどSNSでのみつながる友人も少なくないはずだ。事実上、成人にとってもSNSは生活で必須となっているのに、未成年だからという理由で16歳未満にだけ禁止するのはいかがなものか。

学校の公式アカウントが増加傾向

高校や大学が運営するInstagramの公式アカウントは、観測範囲では増加傾向にある。若者のメインのSNSがInstagramとなっているためだろう。

高校生の子どもを持つある保護者は、「うちの子がInstagramデビューをしたのは、学校の公式アカウントのせい」と苦々しい顔をする。子どもに「学校の公式アカウントの投稿を見たいから」と言われ、やむなくアカウントの作成を許可したところ、Instagramにはまってしまったという。

筆者の息子が通う高校でも、複数の部活動がInstagram上に公式アカウントを持っており、それどころか高校の公式アカウントもある。投稿からは日々の活動の様子がわかり、楽しそうな雰囲気が伝わってくるものばかりだ。たびたび炎上ネタが話題になるXと異なり悪いイメージが少なく、写真のみの投稿で済むため、運用のハードルも低いのだろう。

写真や動画は情報量が多く、感覚的に情報を得やすいというメリットがある。最近の学生は、オープンキャンパスや就活関連の情報などもSNSで得ている。レコメンド力が優れてハマりやすく、もはや利用しないことにデメリットさえあるように感じる。

中高一貫校に通う息子も高校生になり、中学とは違って学校にスマホを持ち込めるようになった。高校に入学して最初に始めたいと言い出したのが、Instagramだ。同級生たちは高校生になってからInstagramを使い始めたらしく、息子も「友達のアカウントが見たい」と言うので使用を許可した。

Instagramには、子どもの利用者を守るために、利用者に連絡できる人や表示されるコンテンツを制限する「ティーンアカウント」という機能がある。息子や同級生たちは15歳でティーンアカウントなので、アカウントは検索対象とならず非公開だ。

しかもフォロワー以外から投稿などを見られないように設定するいわゆる「鍵アカ」で、公開状態になっている子はいないという。友達のアカウントをフォローしたところ、他の友達もおすすめに表示され、フォローできたそうだ。「高校と入学年度が分かる記号(アルファベットと数字からなる記号)をプロフィールにつけているから分かる」ようだ。

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