「地方ではポケモンGOがしにくい…え、イオンモールでできるの!?」 イオンとポケモンGO「4年ぶり復縁」の”深い狙い”
ただ、そこまでの認知度があるわけではなく、それぞれのモールごとで取り組みにも差があるな……というのが正直なところであった。例えば、以前私が訪れたとあるモールでは、チェックポイントの看板が他の広告などで隠されていて、機能していなかった。
そもそも、イオンモールを歩き回っても基本的には店のラインナップなどは同じで「そこまで楽しくない」と思われていたこともあっただろう。各モール側としてもそのメリットを感じづらかったのではないか。
ただ、ここで同じく「歩く」取り組みであるPokémon GOが来て、既存のイオン・ウォーキングのアプリとも連動しているとなれば、状況は変わってくる。イオンモールは、イオン・ウォーキングの利点を享受しつつ、消費者側はより楽しくモールで歩くことができるのである。
Pokémon GOを用いつつ、既存のイオン・ウォーキングをいっそう盛り上げたいというイオン側の目論見もその裏にあるのではないか。
また昨今、「体験型消費」が流行りとなっているが、ショッピングモールのような場所だと、なかなか相性が良くない。その点、Pokémon GOというコンテンツの力を借りることで、施設そのものの魅力すら、グッと向上するのだ。

都市とコンテンツの関係を問う興味深い事例だ
以上のように、イオンモール×Pokémon GOのパートナーシップは、双方にとってメリットがある取り組みだ。
実は、筆者としてはこのコラボレーションの先に、さらに壮大な未来も見ている。
人口減少が進み、地方部を中心に実店舗がどんどん少なくなっている。「空き家」が問題になっているように「空き店舗」「廃墟モール」などもこれから生まれてしまうだろう。
……という話をすると、ショッピングモールに対して批判的な立場だと勘違いされやすいので、決してそういうわけではない。人口減少の時代には求められる戦略が異なってくるわけで、その際、「廃墟」になる前にその建物なり施設を利活用することが重要になってくる、と言いたいのだ。
そのときの一つの活用方法として、Pokémon GOのようなARゲームとのコラボレーションは、地域の空き店舗や廃墟化した建物を放置したままにしない一つの方法になるのではないか。
もちろん、イオンが一度パートナーを降りたように、そのコラボレーションが必ずしもうまくいくとは限らない。また、それで完全に地方の問題が解決することは、当然ない。
しかし、ネットの空間が充実しつつある現代において、これからの都市はIPなどの集客エンジンをうまく利用していかにリアルな空間に足を運んでもらうかが重要になってくる。
その意味でも、イオンモール×Pokémon GOの取り組みは都市とコンテンツの関係性を考える例として興味深いのである。
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