――アメリカでの生産を増やすには一定の時間がかかります。4年後には方向性が変わるかもしれないから様子見でいい、という考えもあります。しかし、今の流れは不可逆なので対応していくべきだ、と。
そう思っている。
自動車はもうルールが決まった。原則として輸入車(乗用車)には25%の追加関税がかかる。メキシコとカナダで生産した車でUSMCA(アメリカ・メキシコ・カナダ協定)の原産地規則を満たしている場合、アメリカ原産部品の付加価値(アメリカRVC)を除いた部分に25%の関税がかかる。
日本や韓国、ヨーロッパからの輸入車には25%の追加関税がかかる。それに比べるとカナダやメキシコで生産した車の関税は低くなるが、米国RVCが低ければ、軽減措置はわずかだ。
アメリカラベル法で開示されている原産地データを基に、自動車メーカー別の地域原産地比率を台数加重平均で計算してきた。

ゼネラル・モーターズ(GM)がアメリカで販売しているモデルであってもアメリカ・カナダのRVC比率は26%しかない。GMだから追加関税を免除されるわけではない。
今回の自動車関税については、アメリカの自動車メーカーを守るという考えではなく、アメリカに競争力のある自動車製造業を復権させるのが目的であり、GMもアメリカに戻ってこいよという話だと理解している。
部品がないと自動車は作れない
――自動車生産拠点としてのメキシコ・カナダの位置づけも変わりますね。一定の条件を満たしていれば関税が免除されていましたが、アメリカ原産の部品の使用が少ないと高い関税をかけられるわけですね。
マツダはメキシコの生産を一部日本に戻す可能性がある。マツダ車のアメリカRVCは10%程度と低い。それなら25%の関税を払っても日本で作った方が安い。
――アメリカでの自動車生産も増やしますか。
各メーカーがアメリカに工場を作るか、作らないのかとよく聞かれるが、そう簡単ではない。部品がないと自動車は作れないからだ。だが、部品の輸入にも関税がかかる。
――これまでは部品でもメキシコ・カナダに頼っていました。
部品は域外からの輸入だけでなく、メキシコ・カナダで生産した部品でも原産地規則(ROO)に不適合だと部品価格に25%の追加関税がかかる。
メキシコ・カナダで生産した部品で原産地規則に適合している場合、「算定方式が決定するまで」は関税が免除される。しかし、原理主義的にアメリカにサプライチェーンを呼び込んで、製造業を復権させるという強い意志を持った政策である以上、算定方式はいつか決まる。
つまり、メキシコ・カナダで生産した部品への関税のかけ方次第で、単純にアメリカに工場を持っていけば問題が解決するとはならない。
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