政治家vs.官僚バトルの行く末。「年金改革」の背後にあるパワーポリティクスを解き明かす

「臭いものにふた」で年金不信を拡大
25年改正の柱は、「基礎年金の底上げ」「パート労働者の厚生年金加入拡大」「在職老齢年金の減額基準の緩和」「高所得者の厚生年金保険料引き上げ」の4つ。いずれも重要で、現実的な内容である。
ところが、年金官僚は押し切られてばかりだ。基礎年金の底上げは、厚生年金積立金を充てる手法に批判が集まり、実施の判断が先送りになった。国民年金の納付期間を40年から45年に延ばす案は、支給開始が遅れるとの誤解が広がり、お蔵入りになっている。
19年の「老後2000万円問題」(表)のように、年金官僚も政治家も「臭いものにふた」で済ませ、かえって年金不信を拡大させている。支給開始年齢引き上げで死闘を繰り広げてきた先輩官僚から見れば、情けない限りだろう。
「小山学校」の一員で山口の後任の年金局長・吉原健二(元厚生次官。55年入省)は「マクロ経済スライドで給付を減らす仕組みだけで乗り切れるという誤った認識を早く改めるべきだ」と手厳しい。
後世に尻拭いをさせた歴史が繰り返されるように思えてならない。
=敬称略=
(注記がない限り、組織名や肩書は当時のものです。)
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