政治家vs.官僚バトルの行く末。「年金改革」の背後にあるパワーポリティクスを解き明かす

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「臭いものにふた」で年金不信を拡大

25年改正の柱は、「基礎年金の底上げ」「パート労働者の厚生年金加入拡大」「在職老齢年金の減額基準の緩和」「高所得者の厚生年金保険料引き上げ」の4つ。いずれも重要で、現実的な内容である。

ところが、年金官僚は押し切られてばかりだ。基礎年金の底上げは、厚生年金積立金を充てる手法に批判が集まり、実施の判断が先送りになった。国民年金の納付期間を40年から45年に延ばす案は、支給開始が遅れるとの誤解が広がり、お蔵入りになっている。

ルポ年金官僚: 政治、メディア、積立金に翻弄されたエリートたちの全記録
年金制度発足以降の年金官僚のドラマを描いた『ルポ年金官僚』(小社刊)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

19年の「老後2000万円問題」(表)のように、年金官僚も政治家も「臭いものにふた」で済ませ、かえって年金不信を拡大させている。支給開始年齢引き上げで死闘を繰り広げてきた先輩官僚から見れば、情けない限りだろう。

「小山学校」の一員で山口の後任の年金局長・吉原健二(元厚生次官。55年入省)は「マクロ経済スライドで給付を減らす仕組みだけで乗り切れるという誤った認識を早く改めるべきだ」と手厳しい。

後世に尻拭いをさせた歴史が繰り返されるように思えてならない。

=敬称略=

(注記がない限り、組織名や肩書は当時のものです。)

同じ特集の会員限定記事を読む

和田 泰明 ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

わだ・やすあき / Wada Yasuaki

1975年生まれ。広島県出身。1997年岡山大学法学部卒業後、山陽新聞社入社。上京後、大下英治事務所を経て、『週刊ポスト』記者に。2004年5月、「小泉首相の年金未納は6年8か月」をスクープ。2005年4月から2024年2月まで『週刊文春』特派記者として、主に政治記事を担当した。著書に『小池百合子 権力に憑かれた女:ドキュメント東京都知事の1400日』(光文社新書)がある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事