「船井電機突然の破産」スポンサーや社長が相次ぎ交代した上に創業家と経営陣とのバトルも勃発、その真相と顛末

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2024年10月24日の船井電機本社の様子。食堂の窓越しには、会社側の説明を聞く従業員たちの姿が見られた(撮影:東京商工リサーチ)

2024年10月24日、信用調査会社・東京商工リサーチの調査員は、大阪府大東市の船井電機本社前にいた。この日は休みでもないのに人影がなく、静まりかえっていた。

「寝耳に水」の破産と一斉解雇

「何かおかしい」。調査員が敷地周囲を回りながら社屋の様子をカメラに収めていたところ、ある異変に気づく。最上階にある食堂の窓に従業員たちの後ろ姿がずらりと並んでいたのだ。

実はこのとき緊急の社員説明会が開かれ、弁護士から船井電機の破産と従業員の一斉解雇が通告されていた。従業員にとって、突然の解雇は寝耳に水。いったい何があったのか、食堂にいた従業員たちはあぜんとするばかりだったという。 

1961年創業の船井電機は、「テレビデオ」で一躍世界的な人気を獲得。その後も液晶テレビの生産に乗り出し、「世界のFUNAI」ブランドを確立した。

しかし中国や台湾のメーカーとの競争激化に加え、創業者で精神的な支柱であった船井哲良氏が2017年に死去し、苦境に陥ってしまう。

そんな船井電機に目をつけたのが出版社の秀和システムだった。創業者の長男で筆頭株主だった船井哲雄氏が顧問に相談をしたところ、秀和社長の上田智一氏を紹介されたという。事業の拡大を目指していた上田氏にとっても、この話は渡りに船だった。

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