鳴き声がかすれた12歳のオカメインコの死 原因は「老衰」ではなかった? ケージはこまめに掃除を。でも、除菌・消毒スプレーには要注意

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後日、このカビを詳しく分析したところ、アスペルギルスと呼ばれるグループに属するものであることがわかりました。

アスペルギルスは身近な環境中にある一般的なカビですが、これが免疫の低下した鳥、特にオカメインコなどでは呼吸器にとりついて深刻な影響を及ぼし、最悪の場合、死に至ることがあります。

鳴管の侵され具合から、呼吸が荒くなり始めた頃にはすでに病気が進行していたと考えられます。

「高齢だから」と様子を見ているうちに、症状が取り返しのつかないところまで悪化してしまったのでしょう。「年のせいかと思ったら、実は病気だった」というのは、インコに限らずペット全般でよくあるケースです(人間でもありますね)。

セキセイインコに多い胃炎

オカメインコの症例に続き、ペットとしてオカメインコと同じくらい人気のあるセキセイインコのケースをご紹介します。

このとき持ち込まれたのは7歳のセキセイインコのオスでした。よく吐き戻しをしていたようで、動物病院で何年も慢性胃炎の治療を続けていたといいます。しかし、なかなか症状が改善せず、ついに亡くなってしまいました。

遺体を持ち込まれた飼い主さんは、「この子に何が起こっていたのかを知りたい」とおっしゃっていました。

解剖の結果、胃がんが見つかりました。鳥の診察に慣れている獣医師でないと見落としやすいのですが、実はセキセイインコには比較的高い頻度で胃がんが発生します。

特にマクロラブダスというカビが胃に感染している個体では、慢性胃炎から胃がんへと進行することがあるとされています。ただ、その因果関係はまだはっきりしておらず、筆者自身、症例を集めて研究を進めている最中です。

こちらはセキセイインコ(写真:suwatsir/PIXTA)

鳥はカビによる感染症が多い生き物です。

特にアスペルギルスによる肺炎は、生前の診断が難しく、治療に時間もかかるため、苦労されている飼い主さんや一般の獣医師も少なくありません。したがって、これらの病気の最大の予防法は、飼育環境にカビをできるだけ発生させないようにする、ということになります。

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