「春は日本向けのニュースがたくさん」iPhone担当役員が語るiPhone 16e、C1モデム、日本市場

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とはいえ、アップルとして初めて手がけたモデムチップ。なぜそのような成果が出せるのか疑問に思った。その疑問にも、ドランス氏は次のように答えた。

「C1はAppleシリコン(iPhone 16eではA18チップ)と統合して動作します。

たとえばネットワークが混雑している時は、今ユーザーが操作しているアプリの通信を優先し、バックグラウンドの通信を後回しにする、といった制御を行います。

このように、ソフトウェアとハードウェアが協調して、必要なものだけに的確な通信を配分できるのです」(ドランス氏)

これには少し驚いた。たいていのデバイスにおいて、モデムは送信は送信、受信は受信、という意味以上はないものだと思っていた。しかしApple C1モデムとA18チップは、通信しようとしている内容から優先度を判断する制御を行っているというのだ。

ドランス氏が挙げた「ネットワークが混雑している時」は、たとえば通勤ラッシュの電車内や、人が集まる繁華街、イベントなどのこと。なかなか思うようにメッセージが送れなかったり、写真がアップできなかったりする場面で、iPhone 16eでは、ユーザーが優先したい通信を、モデムとしても優先してくれるのだそうだ。

必要な通信に電力をかけ、バックグラウンドの通信はさほど電力をかけず、速度を出さなくてもいい。こんな制御が1日中行われる結果、前述の25%の省電力性能を実現するに至った。

ニュースがたくさんある「iPhoneの春」

iPhone 16eによって、iPhoneラインナップを拡充したアップル。特に日本市場には期待を寄せており「ニュースがたくさんある」とドランス氏は強調した。

「4月にApple Intelligenceが日本語対応を果たします。私たちにとっても、大きな楽しみといえます。加えて、アメリカ国外で初めて、個人IDカードをiPhoneに取り込むことができる、マイナンバーカードのiPhone搭載も控えています。

今後も、日本独自の取り組みに、アップルもできる限り対応していきたいと思っています」(ドランス氏)

ドランス氏は「日本のユーザーはiPhoneを本当に大切に使ってくれてうれしい」とにこやかに語った。iPhoneのシェアが一際高い日本市場に寄せる期待も、引き続き大きいものとなるだろう。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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