「孤独死や闇バイト」住宅を危険から守る最新技術…「スマートライフ」サービスで豊かな暮らしになるか

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国交省では、今年10月に導入する予定の「居住サポート住宅」の高齢者支援も行う居住支援法人には最大1000万円を助成する制度を設けている。しかし、R65不動産の飯田鉄弥氏によると「かなり熱心に活動している支援法人でも助成金は200万円程度で、人件費も賄えない状況」という。能美市など自治体による見守りサービスも、住宅に設置するIoT機能付きの家電製品の購入費用まで自治体側で負担するのは難しい。

国は、2024年6月にデジタル技術による社会課題解決と産業発展のため「デジタルライフライン全国総合整備計画(デジタル全総)」を策定した。共通の仕様と規格に準拠したハード・ソフト・ルールに基づくデジタル基盤を整備しAIを活用することで、クルマの自動運転、ドローン配送、上下水道など地下埋設物のデジタル管理などのイノベーション実現をめざしている。

経済産業省では、デジタル全総のプロジェクトなどでデータ連携する仕組みを「ウラノス・エコシステム」(ウラノスはギリシャ神話に登場する天空神)と命名。その技術を広く民間企業に提供していくため、今年2月28日にエンジニア向けの技術参照文書を公開し、引き続き入門書やガイドブック、仕様書などを順次、整備していく計画だ。

「スマートライフ」サービスが抱える課題

住宅も、国民の暮らしを支える重要な社会インフラである。これまでは各企業が個別にスマートホームを開発して提供してきたが、アメリカや中国に比べて普及が進まず、「スマートライフ」サービスも本格普及にはほど遠い状況だ。

サービス事業提供者である大阪ガスや東急グループのイッツ・コミュニケーションズが、ソニーネットワークコミュニケーションズのスマートホーム子会社であるライフエレメンツに資本参加したのも、データ連携プラットフォームを共同利用することでコストパフォーマンスが高い「スマートライフ」サービスを実現するのが狙いだ。IoT機器の直接販売を認められていない保険会社の三井住友海上が、IoTプラットフォームを自ら導入して事業を始めたのも、保険を含めた付加価値の高いサービスを実現するためだ。

人口減少・少子高齢化が進むなかで、居住者から求められる「スマートライフ」サービスをどのように提供していくのか。スマートホームに関わる企業が家電製品や住設機器などハードばかりを売ることから、社会課題を解決するためのサービスプロバイダーへと転換していく必要があるだろう。

千葉 利宏 ジャーナリスト

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ちば・としひろ / Toshihiro Chiba

1958年北海道札幌市生まれ。新聞社を経て2001年からフリー。日本不動産ジャーナリスト会議代表幹事。著書に『実家のたたみ方』(翔泳社)など。

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