「孤独死や闇バイト」住宅を危険から守る最新技術…「スマートライフ」サービスで豊かな暮らしになるか

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セキュアルのホームセキュリティシステムは、積水化学工業が5年前に完成した複合型スマートタウン「あさかリードタウン」(埼玉県朝霞市)に導入された。現時点で積水化学のスマートタウン全てにホームセキュリティを標準装備していないが、昨年暮れにあさかリードタウンの住民を対象に実施した初めての意識調査で「防犯性」に対する満足度・支持率が戸建・マンション合わせて35%という結果となり、「今後、防犯は住宅の必須アイテムになる」(住環境研究所)と評価している。

スマートホームと損害保険の連携に取り組むのが、三井住友海上火災保険だ。世界60カ国以上で住宅IoTプラットフォーム事業を展開するアメリカのAlarm.com Holdings(アラーム社)と提携し、2023年10月からIoTプラットフォームを「MS LifeConnect」のブランド名で提供を開始した。保険会社は法律上、機器の販売が認められないため、保険代理店やホームビルダー、警備会社等の提携企業先の販売チャネルを通じて、第1弾のAI機能を搭載した防犯カメラを提供している。

通常の防犯カメラは、常時撮影した映像をクラウド上に録画するのが一般的だが、MS LifeConnectの防犯カメラは撮影するエリアやポイントを利用者が設定し、人物を検知した映像だけを録画してスマートフォンに通知する。誤検知率が低く、間違ったアラートが届くことが少ないのが特徴だ。不審者の検知や高級車の盗難防止のほか、認知症高齢者の外出を検知するといった使われ方もしている。

「今後は、家に設置する各種センサー類、スマートロック、子供を見守るウェアラブルデバイスなどをプラットフォームに追加してサービスを拡充する計画。将来的にはIoTを活用してリスクを低減した分を保険商品に反映していく取り組みも進めていく」考えだ。

見守りサービス普及を阻む費用負担

高齢者や子どもの見守り、住宅の防犯など安全・安心な社会基盤を構築していくうえで課題となるのが費用負担である。見守りや防犯などのサービスに月1000円以上の利用料を支払うのは負担が重いと感じる人は少なくないだろう。

実家にインターネット回線を引いたり、見守りサービスを導入するのは多少、費用が高くても“親孝行”と思って家族で負担するだろうが、賃貸住宅の見守りサービスは誰が負担するか。高齢者の孤独死による事故物件発生を防止するためと言っても、最初から高齢者に貸さなければ費用負担は発生しないわけで、見守りサービスを導入してまで高齢者が借りやすい賃貸住宅を提供しようというオーナーがどれくらいいるかである。

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