――うまくいかなかった夫婦関係がかなり改善されたのですね。素直になる効果は絶大!20年も続けていると、いろんな人が参加していそうです。
最初の頃に参加した男性の息子さんがやってきて、「お父さんがお母さんへの愛を叫んだこの丘で、僕は彼女にプロポーズします!」なんて宣言したこともあります。天国に行った妻への変わらぬ愛を叫んでくれる人もいたり。


毎年参加する人もいるので年齢層は上がって来ていて、半分ぐらいは50代と60代です。そういう夫婦は奥さんのほうも叫ばれ慣れていて(笑)、愛を叫び返したりもしています。夫婦にしかわからない言葉のやりとりに、その夫婦だけの情景が浮かんでくるように思えて、聞いている私たちも涙が出てきたりします。夫婦っていいものだなと思う時間です。
初参加の夫婦は2人の間に距離を感じることが多いですね。愛妻の丘に登るアプローチでは目も合わさなかったり。でも、他の人の叫びに勇気をもらって自分も叫んだ後は、夫婦の会話が生まれたり他の夫婦と仲良くなったりして丘を降りて行くのです。ほっかほかな雰囲気になりますよ。
――叫び方はそれぞれだと思いますが、傾向はありますか?
さきほどお伝えしたように愛妻家は自称できません。むしろ、普段は恥ずかしくて愛情を伝えられないようなタイプが心を開きに来る場になっています。だから、たいていは謝罪の言葉から入りますね。「あのときは素直になれなくてゴメン」から始まり、「本当は愛しているよ~!」で終わるのが定番。時間制限はなく、過去には1分50秒にわたる名演説をした人もいます。
末期がんを患いながらもキャベチューに参加いただき、その後亡くなられた男性が遺してくださった言葉があります。「素直って素敵だよね」です。弱みをなかなか見せられない世の中ですが、せめて夫婦は本音で会話をしようというメッセージが込められていると私は思っています。「ごめん」も「ありがとう」も素直に言いましょう。生きているうちに、結婚生活が続いているうちに、です。
この「晩婚さん連載」とも通じる点があった

35歳以上で結婚した男女の話を聞き続けている本連載。現在の幸せに至るまでに、様々な悲しみや後悔を経験している人が少なくない。それを踏まえて今の配偶者との物語を話し終えると晴れやかな顔になることが多い。さらに記事にして報告すると、妻や夫への感謝や尊敬が高まったという嬉しい返信をしてくれたりする。
経験や感情のすべてを言語化することはできない。だけど、できるだけ素直で丁寧な言葉にする姿勢は必ず相手に届くし、自分の心も穏やかにするものだ。小菅さんの話を書き終えた今、配偶者への愛情を言葉にして伝えることをサポートし続けている日本愛妻家協会に連帯感のようなものを覚えている。
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