62歳で大分から「東京移住」、初のマンション暮らしでトラブルも。東京生活は「大分の時より健康的」な理由とは?移住後8年たった現在の心境

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東京移住のメリットは、意外にも健康面にもあるという。

「東京に来てからはかなり歩くようになりました。大分でゴミ出しすら車でしたが、東京では病院も役所も買い物もほぼ徒歩圏内にあります。美術館や博物館、歴史的スポットなど行きたいところがあちこちにあり、いろいろ回るのも楽しい。電車に乗り遅れてもすぐに来るのも便利ですね」(絹子さん)

「歩くようになったことに加え、今は歯医者にも健康診断にも行くようになった。これまでは痛まないと行くことはなかったので、東京に来てからの方が健康です」(春美さん)

さらに、健康面で移住してよかったと思える出来事が昨年起きた。絹子さんの入院だ。

あゆみさんがそのときのことを振り返る。

「2024年に母がコロナにかかり、症状が重く入院することになりました。近くに大きな病院があったので無事治療もできました。このコロナのときほど、家族が近くにいてよかったと思ったことはありません。やはり近くにいると日々の状況が分かり、サポートしやすいことは安心にもつながりました」

春美さんと絹子さん
インタビューに答える春美さん(左)と絹子さん(右)(写真:今井康一撮影)

「初めてのマンション暮らし」の洗礼

東京移住後はほぼ理想的な生活が送れている大井さん一家だが、東京での暮らしで戸惑ったこともあった。

「今までマンションに住んだことがありませんでしたが、声が大きいと上の階の住民に苦情を言われたことには戸惑いました。

私たちは2人ともおしゃべりなので普通に話しているつもりでも、うるさいと感じたようです。あとは、田舎の感覚で夏は窓を開けっぱなしだったのもよくなかったのかもしれません。

大家さんは私たちに問題があるとは考えず理解してくれましたが、掃除や洗濯の時間を気にして過ごす生活になりました」(絹子さん)

また、気を遣う相手は他人だけではない。仲のいい大井家であっても、あゆみさん・弟さんそれぞれの家庭との距離感はつねに難しい問題である。

あゆみさんは夫と2人ぐらしで、夫と大井さん夫妻との関係は良好だ。それでも、家庭によって価値観が異なる部分があるのは避けられない。

「板挟みというほどではないけれど、うちにはうちのライフスタイルがあるので、なんでも一緒というわけにはいかない。弟にも家族がいますし、会う頻度や孫の教育方針など適度な距離感は必要だと思います」(あゆみさん)

絹子さんも同様の思いがある。「以前、弟が留守中に家の前を通ったとき、玄関先を勝手に掃除してしまったことがあったのですが、そのときは怒られました。いくら仲がよくても、一定の距離感は必要だと気づきました。息子には『もう少し頼ってくれても』と思いもしますが、息子家族の考えを尊重するようにしています」

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