62歳で大分から「東京移住」、初のマンション暮らしでトラブルも。東京生活は「大分の時より健康的」な理由とは?移住後8年たった現在の心境

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大井夫妻は2021年、あゆみさんが夫の仕事の都合で東京都から神奈川県川崎市に引っ越すのにあわせ、夫妻も同じ駅に引っ越した。

「中野区には結局4年ほど住みました。中野の家は2LDK、60㎡くらいでしたが、川崎の家は2LDK、50㎡くらいです。家は狭くなりましたが、今も定期的に模様替えなどして住みやすいようにしています」(春美さん)
夫妻の家とあゆみさんの家は直線距離で200メートルほど。弟家族も同じタイミングでたまたま隣の駅に引っ越すことになり、大井さん一家の距離はより縮まることとなった。

移住から8年経って

大井さん一家が東京に移住してもうすぐ8年。

今まで元気で過ごしてきた春美さん、絹子さんとも2025年には70歳の節目の年齢となり、いよいよ身体にも不安を感じがちな年代に入る。

あゆみさんは両親の介護についてどのように考えているのだろうか。

「2人とも今は元気ですが、これから突然何が起きるかわかりません。いつから始まるのか、どっちから始まるのかわかりませんが、今はまず生命保険の内容を教えてもらうことなどから始めています。離れていると、いきなりその話はしにくいですが、普段の会話の中でこうしたことを確認できるのも近くにいる利点です」(あゆみさん)

『両親が元気なうちに“実家じまい”始めました』
あゆみさんが一家の移住にまつわる話をマンガ『両親が元気なうちに“実家じまい”始めました』(光文社)にまとめている。夫妻の移住についてさらに詳しく知ることができるので、東京への老後移住を考える人に是非お勧めしたい一冊だ

春美さん、絹子さんも先のことを十分に見据えている。

「施設のことを調べたり、もっと先の埋葬方法を調べたり。わたしたちは樹木葬や散骨でもいいと思っているのですが、子供と前もってそういう話ができるのがとてもいいと思っています」(絹子さん)

とはいえ、まだまだ元気な2人。楽しめるうちに楽しい時間を過ごそうと決めている。

3月下旬には大谷翔平選手、山本由伸選手、佐々木朗希選手が所属するメジャーリーグ、ドジャースの日本での開幕戦に家族で行くことになっている。野球好きの春美さんは大喜びだといい、あゆみさんは「大きな親孝行ができます」と笑顔をみせる。

仲睦まじい大井一家の姿からは、高齢者の暮らし、家族の関係における新たなかたちが浮かび上がってきた。

岩崎 貴行 ジャーナリスト・文筆家

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いわさき たかゆき / Takayuki Iwasaki

1979年埼玉県生まれ。2003年早稲田大学政治経済学部卒業、同年日本経済新聞社に入社。政治部、金沢支局、社会部を経て、2013~2020年文化部で音楽(ジャズ・クラシックほか)や文芸などを担当。さいたま支局キャップ、地域報道センター次長も務めた。2024年9月に同社を退職し、同年10月から出版社勤務。専門は音楽を中心とする芸術文化で、音楽雑誌やネットメディアなどへの寄稿多数。東日本大震災、福島第1原発事故などの取材に関わった経験から、環境問題、地域振興などへの関心も高い。

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