前大統領の「電撃逮捕」で大荒れ必至のフィリピン 麻薬撲滅戦争の罪、マルコス大統領の真意は

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2025年3月9日、香港で行われた選挙集会で演説するロドリゴ・ドゥテルテ前フィリピン大統領(写真・Anthony Kwan/Getty Images)

フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ前大統領が2025年3月11日、香港から帰国したマニラ国際空港で逮捕された。

2016年6月~2022年6月の任期中、強力に進めた「麻薬撲滅戦争」で多くの人が司法手続きを経ずに殺された超法規的殺人が「人道に対する罪」に当たるとして国際刑事裁判所(ICC)が逮捕状を発付し、国際刑事警察機構(ICPO)が指名手配していた。

これを受けてフィリピン国家警察が身柄を拘束した。マルコス政権はさらに同日中に、ICCの本部があるオランダ・ハーグへ向けてのチャーター機にドゥテルテ氏を乗せた。

「違法な拘束」と娘が反発

2022年の正副大統領選でボンボン・マルコス大統領とドゥテルテ氏の長女サラ・ドゥテルテ副大統領が「ユニチーム」を組んで圧勝した蜜月は1年余前に破綻し、マルコス・ドゥテルテ両陣営の対立は抜き差しならぬ状況に陥っていた。

逮捕状に書かれた容疑は容疑として、フィリピン国家警察による逮捕は、マルコス現政権がドゥテルテ一家に下した政治的一撃であり、両陣営の対立の結末であった。

同じくICCから逮捕状が発付されているロシアのプーチン大統領、イスラエルのネタニヤフ首相、ミャンマーのミンアウンフライン国軍総司令官らには各国の捜査機関が協力せず、いずれも逮捕されていない。こうした国々と同様、現在はICCに加盟していないフィリピンが前大統領の身柄拘束に動いた裏には何があったのか。

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