ドイツ次期政権は躍進した「右派AfD」抜きで成り立つのか?現地で各党を直撃!右派を避けつつ移民対策を取り込むアンビバレントな舵取りの行方

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選挙で最大の焦点であった移民問題について、AfDは選挙前の1月29日、メルツ氏が議会に提出した、不法移民を国境で追い返すことなどをうたった動議に賛成票を投じた。

この時、メルツ氏は「AfDに事前に賛成投票を求めたわけではない」と動議提出を正当化したが、右派政治勢力と協力しないとの戦後ドイツのタブーを破った、と批判された。

新政権はAfDの協力を避けながら、移民政策の厳格化を進めるという、奇妙な舵取りを迫られることになる。

次期政権が中道勢力にとって最後のチャンス

CDU・CSUは事態をどう見ているのか。元CDU有力議員の政策秘書で、現在はベルリンのCDU系の経済研究機関研究員であるA氏に話を聞いた。

選挙結果についての評価を聞くと、「アンビバレント。CDU・CSUは第1党にはなったが、歴史的には2番目に悪い成績。SPDと組んで過半数を確保したが、過半数をわずかに上回るにすぎない。さらにAfDと左派党が合わせて3分の1以上の議席をとったのは非常に懸念すべき状況だ。(3分の2以上の賛成が必要な)憲法改正を伴う法案、例えば軍事費増額などで両党が(AfDは親ロシア的な姿勢、左派党は平和主義を背景に)否決する可能性がある」と懸念する。

そして、発足する見通しの大連立政権が、「中道の民主主義勢力が問題を解決できるかどうかの最後のチャンスであり、もしこのチャンスを生かせないと、次回選挙はAfDが第1党となるだろう。過去20年間、大連立政権が何度も発足したが、状況を打開するようなダイナミズムを持つことができなかった」と見る。

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