「高校無償化で公立淘汰」起きてしかるべき理由 前原誠司「統廃合は不可避、質的競争を促す」

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――今回、日本維新の会が推し進めた「高校教育無償化」については、多くの批判が出ています。無償化より先に、世界で戦えるレベルの子どもたちを育てるために教育や先生のレベルを上げることのほうが重要ではないか、という主張も聞かれますが、前原さんはどう受け止めますか?

そのとおり、無償化だけでいいとはまったく思っていません。教育の質の改革も大事です。高校教育に関しては、(無償化によって)私学を選ぶ子どもが増え、公立の地盤沈下につながるというふうに言われることも多いのですが、僕はそれでいいじゃないか、と思うんです。

なぜなら、子どもの目線で見たときに、私学に行きたかったのに親の経済的事情で諦めざるをえなかった子が、私学に行けるようになるわけです。その学校に魅力がある、あるいは強い部活動があるからかもしれない。選べるようになるのは子どもにとっていいことです。

この場合(選ばれなくなった)公立は安さだけがアドバンテージだったということで、それは高校の本当の魅力ではない。自由に選べることによって、質の競争が生まれます。子ども目線で質の高い、あるいは特色のある学校をつくらなければ、選ばれなくなる環境ができるわけです。

もちろん、公立高校でも非常に努力して魅力やレベルの高いところはたくさんあります。でも、何にせよ子どもは減っていき、定員割れの学校は増えていきます。統廃合していかないと、もう無理です。

例えば私の地元、京都府東山区は昔、11学区・11小学校あったのですが、今いくつになっていると思いますか?

水産高校を出た人は水産の仕事に就いているか

――3分の2くらいの数でしょうか。

たった2つです。京都市内のど真ん中でこれで、しかもいずれも小中一貫校。そうでなければもう学校のボリュームを保てないんです。そういうことをにらんだら、高校の統廃合は進んでいくべきことです。

――特化型の公立高校が担ってきた工業や漁業の人材育成があると思いますが、そういった学校が生徒を集めづらくなるという声もあります。これも「子どもの目線で見れば仕方ない」となるのでしょうか。

自民党の小野寺(五典)政調会長と話をしているときに、実際に今のような指摘をされました。小野寺さんは気仙沼の出身で、水産大学を卒業され、教鞭をとっておられた経験もお持ちの方です。

そんな小野寺さんに「水産高校を出た人がみんな水産の仕事に就いているんでしょうか?」と聞いたら、「そうでもない」と正直におっしゃっていました。教育で誘導したとしても、やっぱりその産業そのものを魅力的にしていかないと意味がないでしょう。

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