一流秘書が教える、好感度を高める「気配り術」 "想像力のない気づかい"はトラブルを呼ぶ

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浅はかだった、と思えるようになったのは実はずいぶん時間が経ってからです。

想像力が足りないと、自分がよかれと思ったことで問題が起きることもあるのです。

「よかれと思って」はただの押し付け

前述のコーヒーチケット事件が起きた当時の私は、「よかれと思ってやったのに、そこまで言う必要ないんじゃない?」と上司を恨めしく思う気持ちでいっぱい。比較的メンタルが強い私でも、1週間以上嫌な気持ちを引きずってしまいました。

やはり若いときは自分の経験したことがすべて。それに当てはまらないことが起きると、それ以上想像を巡らせることができませんでした。自分がよかれと思うやり方のバリエーションが少なすぎたのだと思います。

もっといろいろな人と接して、いろいろな経験をしていれば、上司の深い意図に気づくことができたかもしれません。つまりは、私の未熟さが原因でした。

それなのに当時の私は、「自分がせっかく、よかれと思ってこうしてあげたのに」という気持ちが先走ってしまった。

これは気づかいとかホスピタリティでは絶対にしてはいけないことです。

「こうしてあげたんだから、一言お礼があってもいいんじゃない?」

「こう思ったからやってあげたのに、好意を無にされた」

こんなふうに思うことが皆さんにもあると思います。しかしそれは残念ながら多くの場合、独りよがりの押しつけにすぎません。

年齢を重ねた私にとって、今やこのコーヒーチケット事件は正真正銘の宝物となっています。思い出すたびに気配りの原点に帰れるからです。でも若い人や経験の少ない人は、こんなとき相手を恨むか、もしくは自分を責めるかのどちらかになることが多い。

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こんなときは自分がよかれと思ったほうに突っ走るのではなく、経験を重ねた人にちょっと相談してみるとか、友達に「こういうことがあったんだけど、どうしたらいい?」と聞いてみたりして、一人でも多くの人の意見を参考にしてみてください。

それが善意の暴走を防ぐ方法です。

私のように、よかれと思って動いたのに、あまりよい結果にならなかったというようなことはどうしても一定程度、発生します。

自己弁護するわけではありませんが、コーヒーチケット事件のときの私も、早く動いたこと自体は決して悪くありません。人に言われる前に自ら動いたことを、まずはほめていい。そうやっていろいろな場面を経験しながら、自分の中で成功事例を1つでも増やしていけばいいのです。

だから失敗を恐れずにトライしてほしい。トライした自分をほめてあげてください。

渡邉 華織 セクレタリーズ アドバイザー

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わたなべ かおり / Kaori Watanabe

セクレタリーズ アドバイザー、お福分けコンシェルジュ。秘書歴30年以上。上場企業からスタートアップまで多岐にわたる企業の経営者のサポートを継続しながら、秘書コミュニティ「セクレタリーズ」を運営。テレビ朝日『七人の秘書』、スピンオフドラマ『ザ・接待~秘書のおもてなし~』の秘書監修なども行う。

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