台湾高速鉄道、ベール脱いだ「独自開発車」の実力 営業列車救援の機関車、多機能保守車も「国産」
新たな車両も日本のメーカーが製造するため日本国内では「新幹線の輸出事例」と捉えがちだが、台湾側の見方は微妙に異なる。「N700Sを購入するのではなく、N700Sを参考にして開発する」というのが高鉄の見解である。運行に関わる基本仕様はN700Sと同じだとしても、客室の内装などには台湾独自のデザインや台湾製の部品が使われるかもしれない。
2024年11月1日、JR各社、日本のメーカー、商社、コンサルなどがメンバーとして名を連ねる国際高速鉄道協会(IHRA)の年次総会に合わせ、高鉄はメンバーたちを高雄市燕巣区にある車両工場に招待し、自社で開発した最新の設備を披露した。
独自の国産機関車「DD30」
まず紹介されたのは高鉄が2022年12月に導入した国産のディーゼル機関車である。当初は日本から譲渡を受けたDD14やDD16といったディーゼル機関車を燕巣車両工場の入れ換え作業に用いていたが、老朽化により維持管理が難しくなったことから、高鉄は新たな機関車を導入することとした。
今度は日本から調達するのではなく、自国で開発、製造することにした。台湾の鉄道車両メーカー・台湾車輌が高鉄の要求する仕様に合わせ新しく設計、車両はDD30という型式が付けられ、3機を製造した。
普段は車両工場に配置されて入れ換え作業を行っているが、DD30には別の役割もある。2010年3月4日、高雄で発生した甲仙地震によって時速298kmで営業運転していた高鉄の列車が脱線した。車輪とECBブレーキの間にレールが挟まったことが幸いし横転は免れた。直ちに救援のための機関車が駆けつけたが、700T に電源や空気を供給できず、救援作業には3日間を要した。新たな機関車は本線で立ち往生した列車を迅速に救出するという役割を担う。

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