セブンのデイカス氏は「後手」の印象を拭えるか 難しいかじ取り

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井阪氏が直面したもう一つの課題が、グループの構造改革だ。アクティビスト(物言う株主)からコンビニ事業に集中するよう求められ、そごう・西武やセレクトショップ「バーニーズ ニューヨーク」運営企業の売却を順次進め、スリム化を図ってきた。

祖業のイトーヨーカ堂をはじめとするスーパーストア事業も中間持ち株会社化を通じて出資比率を引き下げ、自立を促す計画だ。脱コングロマリットに向けて策を講じてきたように見えるが、後手に回っているとの指摘がある。SBI証券の田中俊シニアアナリストは「長期的な信念をもって対話するよりも、要求にふらついてきた印象だ」と述べた。

板挟みのリスク

2016年に井阪氏がセブン社長就任の背景にはアクティビストの要求や、創業家の意向があったと当時報道されていた。一連の騒動後に創業家出身の伊藤順朗氏が執行役員から常務執行役員に昇格。24年5月には副社長に就いた。

創業家はクシュタールからの買収提案に対する実質的な対抗策として経営陣が参加する買収(MBO)を提案するなど、要所で影響力を発揮してきた。祖業のイトーヨーカ堂の売却が遅れたのは、創業家への配慮にしか見えないと同社OBの1人は匿名を条件に話した。

重要な経営判断の際に創業家が一定の影響力を持ち続けるとすれば、新たな経営陣は創業家と株主との板挟みになる懸念もある。

著者:吉田昂

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