セブンのデイカス氏は「後手」の印象を拭えるか 難しいかじ取り
UBS証券の風早隆弘シニアアナリストはデイカス氏について、「より忖度(そんたく)のない経営判断ができる可能性がある」と指摘。同氏がグループ内の事業会社でトップを務めた経験を持たないからだ。また連結で約16万人の従業員を抱える大組織を率いる求心力を持ち、企業価値向上策を実行に移せるかに注目していると述べた。

食以外では課題
井阪氏は食品の品質向上を強く訴え、一定の成功を収めてきた。自身も食品開発に長く携わり、若手時代のハワイ勤務では現地でロングセラーとなった「スパムおむすび」を開発した成功体験を持つ。国内でコンビニを運営するセブン-イレブン・ジャパン(SEJ)社長時代にはレジ横でコーヒーを提供する「セブンカフェ」を根付かせた。
風早氏によれば、新型コロナウイルス禍では、セブンは外出制限で需要が拡大した中食マーケットに対応するため、名店監修の商品を増やすなどの対応を取り既存店売上の減少幅をライバルよりも少なく抑えた。同社の食品は業界内でも品質や種類の豊富さで一目置かれる存在だ。
ただ、サービスの多様化ではつまずきが目立った。セブン関係者は井阪氏の功績として、食品の強みを定着させたと評価する。一方で、マイナスもあるという。コンビニ産業の存在意義は便利さにあると指摘し、食が強みだと自ら定義したことで、新たな発想で利便性を追求しずらくなった面もあると述べた。セキュリティーの問題が発覚して頓挫した決済サービス「セブンペイ」やイトーヨーカ堂のネットスーパーは利便性の向上に失敗した。
海外展開も思うようにはいかなかった。ガソリンスタンド併設型コンビニエンスストアの「スピードウェイ」やオーストラリアのセブン-イレブン運営会社を買収も進めたが、米国事業は消費減退の難局を打開できず不振が続く。