被災地のシャッター通りで起業、高1と母の心意気 岩手県釜石市 スモールビジネスでにぎわいを

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小笠原さん親子
シャッター通りだからこそ、これから何かが始まる可能性があるという2人(写真:筆者撮影)

一方、併設している貸しスペースでは将来、皐さん自身が講師となって子どもたちにダンスの楽しさを伝えるレッスンなども開きたいと構想している。

ほかにも、キッズ古着コーナーの拡充や、子育て支援員の資格を持つ梓さんによる託児サービス付きネイルサロンなど、2人がやってみたいことはまだまだたくさんあるようだ。

なんでも始められるまちにしていきたい

梓さんは震災前、「これといった特徴もなく、魅力もない」と地元釜石を捉えていたという。しかし、復旧や復興に駆けつけたボランティアや支援団体の人たちから「釜石は人がいい」「ウェルカムな感じがいい」などと言われ、「逆に釜石のいいところを教えてもらった」と振り返る。

一方の皐さんは「何もないけど釜石が好き」という気持ちは物心ついたときから変わらないという。「自然があって、きれいな海がある。それに、『これがやりたい』と言えば、釜石の人たちは得意なことを生かして応援してくれる」と話す。

年に2回開催しているイベント
年に2回開催しているイベントでにぎわった釜石大観音仲見世通り。小笠原さん親子も開業前から参加している(写真:筆者撮影)

もちろん、地方ならではの保守的なモノの考え方をする人もいるが、「誰かが『何かしてみたい』と思ったときにまずは小さく始めてみようと思える、そんな始まりのまちになれば、釜石が今よりもっと若者も住みやすいまちになると思う」と2人は口を揃える。

津波により多くのものが失われた釜石。「復興」という事業は終わり、大きな経済の流れが停滞する中でも、小さな希望の芽は今も各地で育ち続けている。

【写真(14枚)】岩手県釜石市で起業した小笠原さん親子やお店の様子など
笠原さん親子
「まわりの人たちに育てられた」と語る小笠原さん親子(写真:筆者撮影)
手塚 さや香 岩手在住ライター

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てづか さやか / Sayaka Tezuka

さいたま市出身。毎日新聞の記者として盛岡支局や学芸部で取材経験を積んだ後、東日本大震災からの復興の現場で働くため、岩手県釜石市に移住。復興支援員として活動し、2021年にフリーランスとして独立。一次産業や地方移住の分野を中心に取材・執筆しているほか、キャリアコンサルティングや地域おこし協力隊の支援活動も行っている。

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