メルカリに余ったギガを出品できるサービスが開始 フリマの仕組みを用いてスマホの通信量を循環

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永沢氏は「エコシステムとシームレスに接続する意義」を強調し、支払いをメルペイとメルカードに限定している。表向きには「簡単・便利」を打ち出しているが、実際はすでにアプリを使いこなしている層をさらに囲い込みたい意図があるように見える。

2GBと20GBという容量設定も、ギガの売り買いで補えることを想定しているようだ。新規ユーザーを大量に呼び込むより、今の利用者をもっと活性化し、メルカリ内で資金を回してもらうほうが重要なのだろう。

収益面でも、通信事業そのものよりもエコシステム強化を優先する姿勢が見える。MVNE経由の接続である以上、通信料金と取引手数料だけでは大きな利益は見込めない。永沢氏自身も「早期黒字化は目指すが、全体への影響は軽微」と説明している。

つまり、メルカリモバイルは収益の柱というより、エコシステム全体を活性化させるための「新たな駒」という位置づけなのだ。

絵に描いた餅か、ユニークな新提案か

メルカリモバイルは今夏までに物理SIM、au回線、通話定額オプションなどを追加予定だ。長期的にはメルカリShopsと連携した端末販売も視野に入る。MVNO市場で価格競争が激化する中、メルカリは「フリマ型のギガ流通」という独自路線で勝負に出た形だ。

メルカリモバイル
新提案は受け入れられるか。まずはメルカリのヘビーユーザー層の動向が注目される(筆者撮影)

ユーザー間の売買がどこまで活性化するか、月末に大量出品で値崩れするか、逆に需要過多で価格上昇するかは未知数だ。永沢氏も「半年程度様子を見て、必要に応じて仕様変更もありうる」と認めるように、このサービスはまだ発展途上の段階にある。

業界全体への影響は当面限定的だが、「ギガを資産化して売却できる」という概念が定着すれば、通信料金の常識は変わる可能性もある。メルカリの描く“エコシステム”構想が現実になるかは、市場とユーザーの反応次第だろう。

石井 徹 モバイル・ITライター

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いしい とおる / Toru Ishii

1990年生まれ。神奈川県出身。専修大学法学部卒業。携帯電話専門媒体で記者としてのキャリアをスタート。フリーランス転身後、スマートフォン、AI、自動運転など最新テクノロジーの動向を幅広く取材している。Xアカウント:@ishiit_aroka

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