作家・橘玲が語る「幸福をもたらす3つの資本」 最も幸福度が高いのは"推し活"型の投資

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「大きな物語」が「小さな物語」に分裂

──社会の変化で社会資本も変わってきたのでしょうか。

幸福度を上げる最も効果的な方法は、自分自身のアイデンティティーを集団や価値観に結び付ける「アイデンティティー融合」です。最初は家族や血族で、近代は国家や宗教に融合していました。

ところが社会が豊かになるにつれて「大きな物語」が退潮し、「小さな物語」に分裂していきます。すると「推し活」のように、融合する物語がバラバラになっていく。同じ東京に住んでいても、乃木坂46のファン、浦和レッズのサポーター、ホストに夢中な「ホス狂い」──など多様でおのおのに接点はありません。

それと同時に、やりたいこと、やらなくてはならないことがどんどん増えている。時間資源が枯渇していることに、みんなが気づき始めました。

有限な時間の中で、社会的な動物である私たちが最優先するのは、親密で感情的な「愛情空間」でしょう。

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その外側にあるのが「友情空間」ですが、愛情空間よりは価値が下がります。すると友情空間は、SNSの膨大な海の中に拡散していきます。

これまで友達とやってきたようなことはお金を払って貨幣空間で処理し、その中にポツンと愛情空間がある。これが「現代人の孤独」といわれるものでしょう。

──とくに若い世代は今後どう考えればいいでしょうか。

お金を増やしたいなら、いちばん大切なことは人的資本を活用して「働くこと」です。そして、日々の忙しさに翻弄されるのでなく、上記の3つの資本を形成していくための人生設計について、合理的に考えることが重要ではないでしょうか。

(聞き手:武山隼大)

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武山 隼大 東洋経済 記者

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たけやま はやた / Hayata Takeyama

岐阜県出身。東京外国語大学国際社会学部モンゴル語専攻卒。在学中に西モンゴル・ホブド大学に留学。2021年東洋経済新報社に入社し、現在ゲーム・玩具業界を担当。

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