旧ジャニーズ2月の数日間で起こった3つの出来事 解散発表・新メンバー・グループ再編が立て続けに

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

今回、再編される前に存在したHiHi Jetsや美 少年などもそうだった。ライブやコンサートはもちろん、地上波テレビでもメインの番組を持ち、メジャーデビューも間近ではないかと目されていた。個人としても、ドラマやバラエティに頻繁に出演するメンバーが複数いた。

そこに今回のグループ再編である。なかには新グループのメンバーにはならず個人で活動することになったジュニアもいる。

再編に踏み切った理由はいくつかあるだろうが、やはりジャニー喜多川氏による性加害問題の影響は大きいはずだ。従来ジュニアのグループも、メンバー構成にしてもグループ名にしても、オーディションと同様にジャニー喜多川氏の一存によって決められていた。その意味で、今回の再編はジャニー喜多川氏の残した痕跡を消し去るためという部分は大きいだろう。

ただ、「タイプロ」のような新しい方式のオーディションが市民権を得た現在、旧ジャニーズにおける今後のメジャーデビューのありかたも変わってくる可能性がある。

「タイプロ」は、ジュニアになることだけがメジャーデビューへの道ではないという新たな前例をつくった。その結果、ジュニアという仕組みの占める比重が小さくなる可能性もある。今回発足した新グループは、どのような個性を持つグループとしてどのような作品を生み出していくのか、これまで以上に自己プロデュース力が求められるようになるだろう。

「ジャニーズらしさ」の行方

こうして3つの大きな出来事が立て続けに起こった。旧ジャニーズの歴史を振り返ってみても、異例の数日間だったと言えるだろう。

最も衝撃を受けたのは、やはりファンであるに違いない。

KAT-TUNやtimeleszには、当然ながら長年にわたって応援してきた多くのファンがいる。解散と新メンバー加入では意味合いもだいぶ違ってくるが、それでも応援する気持ちと同時に複雑な思いを抱くファンは両方に存在するだろう。

ジュニアの各グループを応援してきたファンも同様である。特に今回のグループ再編については、SNSで「#ジュニア解体」というハッシュタグができるほど強い反発の声もあがっていた。そこまでいかなくとも、再編に困惑する様子がSNSへの投稿などからは見て取れた。

旧ジャニーズくらいの長い伝統があると、ファンのあいだで「ジャニーズらしさ」について一定のイメージが共有されている。それは、“なんでもあり”を思わせる個性的な楽曲、ステージ演出、グループ名といった要素から成り立っている。そしてそれらの総体がジャニーズという独特のエンタメを成立させ、世代を超えて多くのファンを惹きつけてきた。

今回の3つの出来事は、そんな「ジャニーズらしさ」が少しずつ郷愁の対象になりつつある現状をそれぞれ物語っているように思われる。

むろんこのまま“エンタメとしてのジャニーズ”が終わるわけではない。アイドルの世界が否応なしにグローバル化していくなかで、旧ジャニーズのタレントやグループが自ら受け継いだ「ジャニーズらしさ」をいかにして時代の流れにフィットさせ、昇華していくかが問われる段階に入ったということだろう。

太田 省一 社会学者、文筆家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おおた しょういち / Shoichi Ota

東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビと戦後日本社会の関係が研究および著述のメインテーマ。現在は社会学およびメディア論の視点からテレビ番組の歴史、お笑い、アイドル、音楽番組、ドラマなどについて執筆活動を続ける。

著書に『刑事ドラマ名作講義』(星海社新書)、『「笑っていいとも!」とその時代』(集英社新書)、『攻めてるテレ東、愛されるテレ東』(東京大学出版会)、『水谷豊論』『平成テレビジョン・スタディーズ』(いずれも青土社)、『テレビ社会ニッポン』(せりか書房)、『中居正広という生き方』『木村拓哉という生き方』(いずれも青弓社)、『紅白歌合戦と日本人』(筑摩書房)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事