「中高生がAI悪用で750万」知らなかった親の"罪" いまや子どもたちは高度な罪を犯す可能性がある

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今回逮捕された中高生は、生成AIを利用して、2つのプログラムを自作していました。まずは、SNSで購入した膨大な量のIDやパスワードの中から楽天モバイルのシステムにログインできるものを選別するプログラム、そして、それを用いて不正に契約した回線のデータを自分たちに送らせるためのプログラムだったといいます。

彼らはこういった知識を独学で身につけ、生成AIに「操作を簡略化する方法」や「処理速度を上げる方法」を質問していました。

今回の事件で世間を驚かせたのは、子どもが行うものとしては、あまりに高度に思える犯行内容。そしてその動機や犯罪で得た報酬の使い道も、かつての子どもたちの犯すものとはまったく違うものになっていることではないでしょうか。

もはや中高生でも簡単に大それた罪を犯すことができるようになったことに衝撃を受けます。

子どもたちは最初から犯罪を目的としていたわけではないでしょう。むしろ、最初の動機は純粋な知的好奇心だった可能性は高いと思います。生成AIやハッキングツールに触れたとき、「こんなことができるのか」「どこまで試せるのか」という探究心が芽生え、ゲーム感覚でシステムの脆弱性を試すうちに、いつの間にか犯罪行為へと足を踏み入れてしまったのではないか。

ネット上では、違法行為が「すごい技術」「面白い手法」として紹介されることもあり、それを見た子どもたちが「自分もやってみよう」と軽い気持ちで模倣するケースも多くあります。知的好奇心がきっかけとなり、倫理観の未熟さや匿名性の影響で歯止めが利かなくなり、結果として犯罪がエスカレートしていくのです。

ネット上の誹謗中傷や迷惑動画投稿からさらに悪質に

これらの犯罪がパソコンやスマホ1つでできてしまうのなら、親は気づくことが難しいでしょう。そもそも子どもたちが生成AIを使ってそのような犯罪を計画することができる、ということを理解している親はどれくらいいるでしょうか。

過去にも、匿名掲示板やファイル共有ソフト、SNSなどの新しい技術が登場するたびに、犯罪や迷惑行為のハードルは大きく下がってきました。匿名掲示板では誹謗中傷が横行し、SNSでは軽いノリで撮影された迷惑動画が大きな社会問題になったことも記憶に新しいところです。

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