「開成」「女子御三家」受けた中国人親子の"中受沼" 動画やママ友連絡網、生成AI駆使する親の受験
この時長男の合格判定は20%ほどで、喜さんは真剣に捉えていなかったという。以前の面談で教師が「みんな開成、開成というけど、そんな簡単なことではない」と話していたのも頭に残っていた。開成クラスの責任者に「クラスに入る資格はあるから、頑張れるかどうかやってみたらどうですか」と助言され、長男の意向を受け入れた。
喜さんは「コンサルタントをしていて、仕事でも『プロのことはプロに任せるべき』という強い思いがある。だから中学受験でわからないことがあるときは塾に相談し、基本的にはその助言に従った」と振り返る。

結果、2人の子どもは第一志望に合格した。喜さんの長男は4校受けて3校合格。彭さんの長女は3校受け、すべて合格した。
生成AIで書類チェック
喜さんは「長男が小学5年生までスポーツをやっていたこともあり、学校見学は小学5年生のときに早稲田中の説明会、小学6年生の夏に開成中の内覧会に行っただけ。合格できた最大の要因は、塾の友達で切磋琢磨できたこと」と話す。中学受験の知識がない中で、親として大変なことは少なくなかった。
「親が書かないといけない書類もあって、中国人の私は生成AIにチェックしてもらいながらどうにか仕上げた。中学受験の経験がある日本人の友人を探したり、(中国で普及しているメッセージアプリ)WeChatの受験生保護者グループに入ったり。12月、1月は仕事が手につかず、免疫がアップするとうたう飲み物を爆買いしたこともある」
彭さんが面食らったのが、SAPIXの大量のプリント管理だ。問題を繰り返し解けるようにプリントのコピーが必須とされ、業務用複写機を買う家庭もある。彭さんはコピーと整理に追われた当時を振り返り、「夫婦で分担すると非効率になるので私が全部やったけど、コロナ禍で在宅勤務だったので何とか仕事と両立できた」と語った。
こうして話を聞くと、喜さんと彭さんの動きや心境は日本人の保護者とあまり変わらない。
喜さんは「私は会社員として安定した収入があるが、週末は家族で埼玉県の安い焼き肉食べ放題に行くような慎ましい生活をしている。ただ、教育にはできる範囲でお金をかけてあげたかった」と話す。
2人とも20年かけて日本の企業文化や社会を学び、十分に適応してきた経験があるから、事前知識がなくても子どもの中学受験に対応できたのだろう。
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