「開成」「女子御三家」受けた中国人親子の"中受沼" 動画やママ友連絡網、生成AI駆使する親の受験
長男を早稲田アカデミーに入れた喜さんは、専業主婦の妻が「夫婦で意見が分かれて喧嘩になるのは嫌だから、私は中学受験の勉強には関与しない」と宣言したため、塾との面談や送り迎えを一手に引き受けることになった。コンサルティング企業に勤め、パパ・ママ友ネットワークに乏しい喜さんは、中学受験の知識を本や雑誌で収集したという。
「出版社が出しているムック本は、併願校の組み方、偏差値と倍率、出題傾向などの情報がコンパクトにまとまっていて役に立った。そこに『小4のうちは塾で上位のクラスに入ることに集中する』とあったので、父子で上位クラスを目指したが、この時期が最初の壁だった」
一番下のクラスに落ちたときは、喜さんの方が不安で押しつぶされそうになった。小学4年生の秋口に塾から電話があり、難関中学を目指すクラスに移れると告げられたときのことは今でも鮮明に覚えている。
「妻は塾のシステムにあまり関心がなかったが、電話を受けた私の表情や声で何があったのか察知したほど、喜びが出ていた」
上のクラスに入った後も順風満帆ではなかった。算数が一気に難しくなって、ショックを受けた長男がソファの下にもぐって泣いたこともあった。喜さんのほうが感情的になり、後から反省することも多々あった。それでも入塾時に比べると成績は大きく上がり、小学5年生の終わりごろには喜さんが密かに希望していた早稲田中学を射程内に捉えるようになった。
子どもが「開成」と言い出し困惑
志望校選びに関しては、喜さんも彭さんも子ども主導だった。
彭さん家族は長女が小学5年生に入ると学校見学を重ねた。内向的に見えるが芯が強い長女は、文化祭などの雰囲気を体感し迷うことなく御三家の一つに志望校を定めた。
喜さんの長男は小学6年生に入る直前、「開成を目指したい」と言い出した。塾の仲良しグループで最も学力が高い男子児童が「皆で開成を受けよう」と言い出し、触発されたのだ。
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