ホテル高騰の救世主?「寝台夜行バス」進化の実態 これまで寝台バスが日本で普及しなかったワケ

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さて、気になるのは「寝台バスの導入コスト」だ。梅原社長にお伺いしたところ、「大型バス車両1台当たりの『ソメイユ・プロフォン』導入・設置費用は、『約4800万円で外販を検討中』」とのことだった。

ひと口に「寝台バス」と言っても、1フロアにベッド状の座席を並べると10席少々しか設置できず、かなり高額の料金を徴収しないとペイできない。その点、「ソメイユ・プロフォン」はあえて2段ベッド状にしており、通常の3列高速バス(28席)とほぼ変わらない「24席」を確保している。

梅原社長いわく「採算と追加運賃を考え、上部空間を活用した2段座席で席数を確保した」ということだ。この導入費用と座席数なら、寝台バス1席当たり3000~4000円プラスの運賃で、乗車率60~70%程度で投資回収は5年以内といったところか。

ただ、「ソメイユ・プロフォン」は上下2段・2席が1ユニットとなっており、「後部に数ユニットのみ」など、部分的な導入も可能。4800万円という金額はあくまで「1台を丸々改装した場合の最高額」ということだ。

また現段階ではすべて「高知駅前観光」で預かっての改修となるため、2カ月程度の納期が必要となるようだ。さて、「ソメイユ・プロフォン」は、夜行バス各社にとって、魅力的に映るだろうか?

バスタ新宿
スマイルライナーの発着地の一つ「バスタ新宿」(写真:筆者撮影)

夜行バス利用後でも「すぐに遊べる」との声

なお、寝台バスの乗り心地を試すために、高知駅前観光の関係者・家族が同乗のうえで、東京ディズニーリゾートまで”試験運行”を実施したそうだ。

結果、子供や高齢者を含めて全員が「休憩でサービスエリアに到着しても、誰も車外に出てこない」熟睡状態で、起床してすぐ、ディズニーランドで遊び回れたという。

寝台バスは、夜行バスの根本的な悩みであった「座席で座るために熟睡できない」問題の解決にもなり、利用者に多様な座席を提示できる。また、経営者にとっては「しっかり収益を上げやすい」のも魅力だ。

高知駅前観光が「ソメイユ・プロフォン」で隆盛を極めるか、また外販で「第2、第3の寝台バス」が登場するか。推移を見守っていきたい。

【もっと読む】日本初「完全に真横になれる」寝台夜行バスの凄さ 寝心地はいかに?高身長・肥満体の筆者が検証 では、高知駅前観光の「ソメイユ・プロフォン」の凄さを、筆者が体験レビュー。その乗り心地などについて詳細にお伝えしている。
宮武 和多哉 ライター

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みやたけ わたや / Wataya Miyatake

バス・鉄道・クルマ・駅そば・高速道路・都市計画・MaaSなど、「動いて乗れるモノ、ヒトが動く場所」を多岐にわたって追うライター。政令指定都市20市・中核市62市の“朝渋滞・ラッシュアワー”体験など、現地に足を運んで体験してから書く。3世代・8人家族で、高齢化とともに生じる交通問題・介護にリアルに対処中。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅(既刊2巻・イカロス出版)など

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