ポン・ジュノ新作"17回も生き返る"主人公の運命 新作「ミッキー17」の制作の裏側と監督の想い
ちなみにミッキーのあとについている数字は、プリンティングで生まれ変わった回数をナンバリングしたもの。原作小説の「ミッキー7」ではミッキーが7回目の人生をやり直しているという設定となっているが、映画版ではそこに10回の生死がプラスされて17回目の人生をやり直しているという設定にバージョンアップ。これによってミッキーの社畜的な生活はさらに過酷さを増している。
本作の主人公ミッキー・バーンズ(ロバート・パティンソン)は、仲間のティモ(スティーヴン・ユァン)と始めたマカロンの事業の失敗により借金取りに追われ、どん底に陥っていた(余談だが『パラサイト 半地下の家族』にも登場人物が台湾カステラの事業に失敗したという設定があった)。
一発逆転を狙ってプロジェクトに参加
そんな彼が一発逆転を狙い、はるか遠い宇宙にある氷の惑星ニヴルヘイムの植民地化計画に参加することにする。夢の仕事を手に入れたつもりのミッキーだったが、担当者はピストルを渡しながらこう告げる。「あなたの仕事は死ぬことに慣れることよ」。ミッキーは、そこがとんでもないブラックな環境であることを知る。
彼の役割は、惑星開発に必要なエクスペンダブルズ(消耗品)として危険な医学実験や人体実験を行うこと。危険なウイルスを吸い込みながら、死を何度か繰り返した結果、ワクチンの完成に寄与したのは彼の功績だ。
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このプロジェクトの参加者を支配する独裁者ケネス・マーシャル(マーク・ラファロ)と、美味しいソースづくりに目がない妻のイルファ(トニ・コレット)は、自分たちが頂点に立つユートピアをつくるべく、ミッキーら労働者を搾取していた。
そんなミッキーのどん底暮らしも4年以上続いていたが、彼の唯一の心のよりどころは警備員として働くガールフレンドのナーシャ(ナオミ・アッキー)だった。彼女だけはミッキーを色眼鏡で見ることもなく、ありのままの彼を受け入れてくれた。
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