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「日本は観光で復活する」"補助金"より大事な施策 木下斉vs永谷亜矢子対談【後編】

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  • 永谷 亜矢子 立教大学客員教授 株式会社an代表取締役
  • 木下 斉 まちづくりビジネス事業家
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永谷亜矢子/大学を卒業後、リクルートに入社し広告営業、企画、雑誌の編集に携わる。2005年、東京ガールズコレクションを立ち上げ、イベントプロデュースやPR、社長業を兼任。2011年より吉本興業で海外事業、総合エンターテインメントのプロデュースを担い、2016年に株式会社anを設立。企業&中央官庁、自治体へのマーケティング、PRコンサルタント、施設やイベントからメディアまでの様々なプロデュース業を担う。2018年より立教大学経営学部客員教授(写真:永谷さん提供)

永谷:それもこれも、「未経験者が事業に従事しなければいけない制度」に問題があると思っています。

たとえば、自治体の中での人事異動で、水道局からいきなり観光担当になるとか。省庁も自治体も、一部の例外はあれど、だいたい2年で人が変わるじゃないですか。

これでは未経験者がなんとなく担当して、2年では知見を貯めるのは難しく、結果、引継ぎもきちんと行われないことも多いのではないでしょうか。

そして2年経てばまた新しい人が来て、ゼロからのスタートになります。

木下:ゼロからというのが問題で、省庁は単年度予算、単年度決算なので、連続性のある評価ができないんですね。

さらにジョブローテーションも激しいので、「予算をつけるとき」「実行するとき」「評価されるとき」でそれぞれ別の人が担当になることも多く、事業も見直されにくいんですよね。

会計検査院は「横領していないか?」とかは細かくチェックするし、内閣府も地方創生予算などは細かな評価までしているのですが、それがフィードバックされない。毎度同じような予算をつけてしまう。そんなんだから、補助金を貪って何もしない「補助金ハンター」みたいな人間が跋扈してしまうんです。

「本当に必要な人にお金が行き渡らない」構造

木下:補助金の申請って書類審査だから、書類を作るのが上手な人に優先的に補助金がいってしまう。逆に、「本当に地域をよくしたくてがんばっている人」には、なかなかお金が回らない仕組みになってしまっているんです。これは、戦後80年続いている悪習そのもの。

また、地域おこし協力隊制度にも同じことが言えます。

予算は全額、総務省の特別交付税から支給され、協力隊の人数が多いほど予算が増えます。事業費もセットでつけられる。しかし、一部では「自治体の予算だから」と言い張ってあまり自由に協力隊に使わせないなどして、トラブルが相次いでいるケースもあります。

いいケースももちろんあるものの、人数ばかりを追い求めて予算を拡大しているのは、「本質的な地方成長に必要な人材を集める」という視点からは乖離していると思いますね。

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