23区なのに「陸の孤島」都民も知らない街の実態 ほったらかしにされてきた土地「江戸川区平井」

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「この街は、他の場所から遊びに来るところじゃない。地元の店は地元の人のためにやってる。そういう店じゃないとやっていけないんだよ。

駅の周辺はチェーン店も多いけど、一歩路地に入ったら個人店が目立つ。うちだって来てくれるのはほとんど地元の常連さんでね。顔見知りになると、ついついサービスしちゃうんだ」(滝田さん)

生まれも育ちも平井だという滝田さんの趣味は音楽だ。とりわけ矢沢永吉愛は地元でも有名だ。

たくさんのポスターが貼られた扉と滝田さん
この扉の向こうは座敷スペース。ここで定期的にライブが行われる(筆者撮影)

「僕は2代目で、初代の親父はジャイアンツファンでさ、その頃は店中ジャイアンツグッズであふれてたけど、僕の代になってからは永ちゃん一色だね」(同上)

店の奥にある座敷スペースには、アンプやキーボードまで揃っている。定期的にライブをやっているのだそう。

「平井は物価も安いし、総武線の快速が停まらないぶん家賃も安い。あと、長く住んでいる人が多いから、みんな気心が知れてる。住民の交流も盛んだから、地元の祭りなんかも盛り上がるよ。春になったら荒川の土手で千本桜祭りがあるし、夏には町会青年部が中心になった青年カーニバルも華やかですよ」(同上)

店の前で寄り添って立つ2人
パートナーとツーショットの滝田さん。気になる方はぜひ足を運んでいただきたい(筆者撮影)

再開発されても、平井の魅力は続いていく

庶民感覚と億ションが共存する平井。今後さらに進むと言われる再開発に伴って人口も増えていくだろう。

「それでもたぶん平井の街の良さは残っていきますよ」と滝田さんは笑う。陸の孤島に、住むと“ちょっと”いい街を発見した。

【もっと読む】横浜なのに「かなり地味」"元闇市"がある街の実態 日本初の洋式競馬場もある「根岸」に広がる光景 では、横浜市でありながらも一見地味、しかし奥深い魅力を持つエリア・根岸を、街に詳しいライターの末並俊司さんが探訪、豊富な写真とともにその魅力をお伝えしている。
末並 俊司 ライター

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すえなみ・しゅんじ / Shunji Suenami

福岡県生まれ。93年日本大学芸術学部を卒業後、テレビ番組制作会社に所属。09年からライターとして活動開始。両親の自宅介護をキッカケに介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)修了。現在、『週刊ポスト』を中心として取材・執筆を行っている。

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