23区なのに「陸の孤島」都民も知らない街の実態 ほったらかしにされてきた土地「江戸川区平井」

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地図を確認すれば一目瞭然だが、平井は旧中川と荒川にすっぽり囲まれている。まさに陸の孤島だ。しかし、この事実そのものに、住むとちょっといい街のヒントがあるらしい。

「土地柄なんでしょうね。近隣から川を越えて進出してくる人があまりいない。逆に、古くから住んでいる人は川を越えて向こう側にはあんまり行かないんですよね。知った顔が多いからアットホームな雰囲気がある。

さらに、錦糸町まで電車で5分程度だし、東京駅まではそこから十数分です。だから通勤にも便利。仕事や遊びはそういった街に行くけど、夜は地元平井に帰ってきて寝る。そういう生活の人が多いんです」(仲村さん)

そんな平井にも再開発の波がやってきた

陸の孤島だからといって、住民の新陳代謝が停滞しているわけではない。

「電車を使えば御茶ノ水とか水道橋といった学生街まですぐだから、地方からやってきた学生さんや、若いカップルなどがわりと多く移り住んでくれています。

東京の東の玄関口となる錦糸町はショッピングやビジネスの街で、家賃も高い。荒川の先の小岩は治安が悪いイメージがある。だから平井にしよう。という感じですね。

住んでみると家賃を含め物価は安いし、平井の良さに気づいてしまうから、学生時代を平井で過ごした人が、社会人になっても住み続ける。そうしているうちに”結婚したんで住み替えたい”と言ってくるお客さんがけっこう多い。よそに住み替えるのかと思ったら、”やっぱり平井がいい”となる。住むと長い街なんですよ」(仲村さん)

さらに、ここ10年ほどは再開発も進んでいる。2016年には平井駅南側の平井4丁目に大規模マンションのシティテラス平井が竣工した。こうした再開発も手伝って、人の流れも変わってきている。

実際、江戸川区平井1〜7丁目の2015年1月と2025年1月の人口を比べると、全体の数こそ微減しているが、平井駅の南口界隈の4丁目は6103人から7244人と1000人以上増加している(住民基本台帳より)。

「再開発の波は、北口にも押し寄せています。そのシンボル的な存在が駅前徒歩数十秒のプラウドタワー平井です。高層階で120㎡級の物件は2億5000万円ですよ。平井に億ションですから……どうなってるんでしょうね(笑)。

このマンションは賃貸物件もあって、2LDK、55㎡くらいの物件ですと月額家賃は25万円を超えます。これが募集と同時に埋まっていくんですから、これからは平井も変わってくると思います」(仲村さん)

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