「決めたことが続かない」組織の"あるある"を解決 組織の問題はすべて「組織継続力」にあった!
人材不足に悩む開発部門で、課長が「若手を早期戦力化させる」という方針を打ち出した。20代の新人エンジニア6人に対し、ベテラン社員6人をメンター役として1対1で割り当て、週1回の1on1ミーティングを実施させたのだ。
最初の2カ月は、各メンターが熱心に指導を行い、若手も意欲的に学んでいた。しかしプロジェクトの繁忙期に入ると「指導の時間が取れない」「納期に間に合わない」という声が出はじめる。課長は「育成が最優先だ」と言うものの、次第に1on1ミーティングが形式的になっていった。
結果、半年後には1on1ミーティングを続けているペアは2組のみに。「忙しい時期が過ぎたら再開する」と言いながら、結局は再開されなかった。若手は「教えてもらえない」と不満を募らせ、2年後までに6人中3人が退職してしまった。
リーダーの課長のみならず、メンターを任された6人のベテランも、相互にコミュニケーションをとっていれば、こんな事態にはならなかったはずだ。
組織継続力を高める「メルコサイクル」
それでは、組織継続力を高めるためにはどうすればいいのか。私は以下の「メルコサイクル」を推奨する。
メルコサイクルの「メルコ」とは、「メッセージ」「ルール」「コミュニケーション」の頭文字をとった造語だ。メルコをこの順番でまわしていくことを「メルコサイクル」と私は名付けている。
(2)ルール
(3)コミュニケーション
まずメッセージの必要性について説明しよう。
リーダーが組織の方向性や目的を明確に示し、なぜこの取り組みが必要なのか、どのような価値を生み出すのか、メッセージを発信し続けることだ。
最初だけではない。常に組織内を洞察し、「中だるみ」になっていると感じたら、迷いなく、しかも執拗に、メッセージを発信するのだ。そうすることで、メンバーは、
「今度の取り組みは本気だ」
「ここまで言うなら、本気でやらないと」
と認識できる。
次にルールの徹底だ。
「何をやらせても、だいたい長続きする」という組織もあるだろう。私も出会ったことがある。しかし、そういう組織は稀だ。ほとんどは主体性に任せていても、長続きしない。"性悪説"で考えたほうがいいだろう。だから強制力のあるルールを定め、徹底させるのだ。
ある商社の事例を紹介したい。入社3年目から10年目までの営業20人を抱える部署で、新規開拓がなかなか定着しなかった。「新規開拓に注力しよう」と言っては、数カ月で熱が冷めることを何度も繰り返していた。
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