電通マンが見た「タワマン管理組合」驚きの"実態" それはポストにあった1通の封筒から始まった
その場に集められた住人の皆さんはこれまで一度も面識のない人ばかりで、男女問わず、さまざまな年齢の方が参加していました。この中で誰がどの担当になるのか、そして任される仕事内容がどんなものなのか、このときの私は知る由もありません。
理事の担当は5つに分かれており、①会計担当、②防災・防犯担当、③総務・渉外担当、④設備・修繕・駐車場担当、⑤自治・広報担当、そして「監事」がありました。監事の役割は、会計監査と業務監査を担当することです。
会計監査では、管理組合の財産管理が適切に行われているかを確認します。また、管理費の収入が正しく計上されているか、支出額が妥当かなどのチェックも担当。業務監査では、管理組合の業務が適切に進行しているか、日常点検や清掃、修繕などが管理規約や総会の決議に従って行われているかを確認する責任の重い役割です。
この期に及んでも楽観的な私は、「どの担当になってもなんとかなるでしょう」と、根拠のない自信を持っていました。
役職を決めるのは抽選だった
担当業務はマンションの規模や理事の人数によって多少異なるとは思いますが、基本的にやることはどこも似たようなものだと思います。今にして思えば、過去に住んでいたマンションで理事会の議事録に目を通していれば、各担当の課題などがわかり、もう少し心構えができていたかもしれません。
マンションによって理事の決め方はさまざまな方法がありますが、私のマンションでは役職を抽選で決める方式です。役員は理事が12名、監事が2名で、任期は2年。1年目が副理事、2年目が正理事となる仕組みでした。
こうした場面でも私は引きの強さを発揮。抽選の結果、私は副理事長に就任しました。つまり、2年目は自動的に理事長へ昇任するわけです。会社での出世も、こんなふうに自動的に昇任するシステムだったらいいのに……。
私が想定外の事態に呆気に取られていると、現職の理事長から「よろしくね」と声をかけられました。
運がいいやら悪いやら、現職の理事長は、なんと私の担当クライアントで、以前からお世話になっていた方です。広告会社の営業にとって、クライアントの担当者といえば、まさに神様的存在。もう逃げ道は残されておらず、腹を括るしかありません。
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