開業1年半で閑散「渋谷・道玄坂通」大苦戦の"真因" 建物の造りや動線から大きな問題がある…?
ただこの点、特にドンキが目指している「回遊型」の施設構造もマイナスには働いているようだ。道玄坂通では、渋谷の街に新しい通りを作り、そこを含めて渋谷の街全体を「回遊」することが目指されていた。
「回遊型」は、従来のドンキでもキーワードになっている言葉の1つ。店舗の場合、それは衝動買いを誘発しアミューズメント性を高めることで顧客満足につながっている(特にスーパーのような日常使いではなく、ディスカウントショップのような非日常的な用途が多い店の場合はなおさらだ)。
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しかし、それは街でも同じわけではない。同じことを街レベルで行ってしまうと「動線が分かりづらい」といった声も当然ながら出てくる。
事実、道玄坂通については私も最初に訪れたときに「これはいったいどこにつながっているんだ?」と思った。渋谷は「谷」と付くだけに坂道が多く、面的に施設を開発しようとすると、どうしてもこの地形的な影響を免れることができない。元々そのような土地でさらに中が分かりづらい……となると、なかなかそこに足が向かないのも納得だろう。
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道玄坂通の今後を考えてみた
PPIHは、1つの店に失敗しても、迅速にそれに対応して店のあり方を変えたり、それに対処する企業風土を持っている。かつては神保町に出店した店をわずか数カ月でたたんだ、ということもあった。
道玄坂通に入るドンキにおいても、わずか数年のうちに業態変更を行うスピーディーさだ。それが現在のドンキの躍進を支える要因の1つになっているのは間違いない。
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ただ、商品や業態を変えることは店の中で完結したとしても、それが立地するハード面については得意の柔軟性を発揮することは難しい。なぜなら、それは建築やデザインの問題であり、変えようと思ってもすぐに変えられる類のものではないからだ。道玄坂通の動線が悪いからといって、1カ月後にそれを変えようといっても無理な話だ。
道玄坂通の問題の1つが「ハード」にあるのだとしたら、PPIHが得意としてきた迅速な変化も難しいのではないか。その点で、道玄坂通の先行きは怪しいといえるかもしれない。
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