米やトマト生産につながる「宇宙ビジネス」の実態 農業のほか漁業でも進む「衛星データ」の利活用

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山口県では、給食で出されるパンはすべて山口県産の小麦から作られており、山口県産の小麦の品質を上げるために、衛星データを分析して、圃場ごとにどの程度の肥料をまくとよいかを判断しています。

その結果、県域全体で小麦を販売する製粉会社から求められる基準の12%を超える成果を出すことに成功。

この技術を提供するアグリライト研究所の方から、「農家の方は農地の場所が番号で頭の中に入っており、衛星データの結果を上から見た地図情報のように見るよりも、エクセルのような表形式でデータをお渡ししたほうが使っていただきやすい場合もあるなど、衛星データの見せ方にも衛星データの解析会社は工夫が必要である」とうかがったお話は、非常に興味深かったです。

さらに、衛星データを利用されている65歳を超えた農家の方が、「これ当たるんよ」と、まだ衛星データを利用していない農家の方に説明するシーンもあったそうです。

宇宙から農地の状態がわかるといわれても、多くの方にとっては本当に当たるのか?と、利用に至るまでの信用が得られづらいのが衛星データの課題の1つです。

ちなみに、私の父方の祖父母は、熊本の河内という場所で美味しいみかんを育てています。一度帰省した際に衛星データを見てもらったことがありますが、「なんや敵が見とるんか」と言われました(笑)。

その点、65歳を超えた農家の方が衛星データを「当たる」と話されているのは、非常に大きな一歩だと考えています。

衛星データ活用で生産量を増やす

農作物の生育において衛星データを活用しているのは、地方自治体だけではありません。

例えば、ケチャップやトマトソースで有名なカゴメは、NECと衛星データ活用の実証実験を行い、ポルトガルにおける加工用トマト栽培の生産量を増やすことに成功しました。

現在は、両社で新会社「DXAS AgriculturalTechnologyLDA(ディクサス アグリカルチュラル テクノロジー)」を設立し、そのノウハウを海外展開しています。

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