｢宇宙ビジネス｣で最も儲かっている"事業"は何か 2035年には｢3510億ドル｣まで成長すると期待も

そして、2035年にはこの約3倍の1兆8000億ドル（約280兆円）もの市場規模にまで成長するといわれており、宇宙空間を活用したビジネスは、今後もますます人間の想像力とともに拡大する予測となっています。

では、宇宙ビジネスで一番儲かっているビジネスはなんだと思いますか？

私が実施した「宇宙ビジネスで最も大きい市場規模となっているのは何のサービスだと思いますか？」という1000人のアンケート調査で、最も多くの票を集めたのは、「ロケットの製造と打ち上げサービス（380人）」、続いて「人工衛星の運用によって地上に還元されるサービス（252人）」、その次に「月面や火星などの探査・移住のための投資（106人）」でした。

宇宙ビジネスというと「ロケット」のイメージが強いのですが、実は、宇宙ビジネスの市場規模におけるロケット産業が占める割合は、約2％（130億ドル）となっています。

では、一番儲かっているビジネスは何かというと、「人工衛星の運用によって地上に還元されるサービス」で、「人工衛星を運用するための地上局設備や端末」と合わせて、市場規模の約71％（4470億ドル）を占めています。

つまり、人工衛星を宇宙に打ち上げることで、私たちの生活が豊かになるビジネスが宇宙ビジネスの市場規模の大半を占めているのです。

人工衛星の活躍

ただ、具体的に人工衛星によるどのようなサービスが、私たちの生活に関わっているかの全体像をイメージできる方は少ないかもしれません。

宇宙ビジネスでは「通信衛星」「測位衛星」「地球観測衛星」と大きく3つの種類に分類して、人工衛星の役割を説明することができます。

「通信衛星」とは、その名の通り衛星を介した通信を地上に提供する衛星です。地上の大規模な通信設備がなくとも、私たちはテレビやラジオを楽しめたり、インターネットを利用することができるようになっています。

つい最近、母が北海道出張で飛行機のWi-Fiを使ってLINEでメッセージを送ってきた際に、「人工衛星使ってるね」とこちらから送ったら、「そうなんだ。いろいろ活躍してるのね」と返事がありました。

知らず知らずのうちに使っているサービスのいたるところに、人工衛星の活躍は隠れています。通信衛星関連の市場規模は、2023年時点で2000億ドルとなっており、2035年には3510億ドルまで成長すると期待されています。