「周囲が気付かない点を指摘」戦略コンサル思考法 トップ5%の考え方を事例に基づき簡単に解説

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一般論として、なぜ1年も待たせているかといえば、バッグの需要に供給力が追い付いていないからでしょう。そこで供給力を増やす方策を考えてみます。大きくは2つの方向が考えられそうです。

①SC(サプライチェーン)施策
②MD(商品ライン)施策

①は生産力の増強余地検討と、原料供給や物流などのサプライチェーン制約の検討に分けて考えられそうです。前者については、さらに生産拠点や職人増員などの単純キャパシティ増強、機械工程の導入や製造プロセス自体の見直しに分けられ……。

こんな具合に考えていくことができそうです。

バッグの生産について多少の常識は要るかもしれませんが、ロジカルシンキングなどで論理的、かつMECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)に考えていけば、着実に解決策オプションへとたどり着くことができるはずです。

――なんてことを解説するのが、本稿の目的ではありません。

たとえば、②MD施策が思いつかなかった人は少なくないでしょう。端から「どう生産力を上げるか」にオプションを限定してしまう、そのバイアスの罠が問いには潜んでいます。

また、②MD施策の幅出しにおいては、仕入れ品を導入できないか(ア)、自社生産品の種類を減らし、商品スコープを絞ることで生産性が上げられないか(イ)、商品スペックの見直しで生産工程を減らして、生産性を上げられないか(ウ)などあり得ますが、「考え続ける」という思考態度がなければ(イ)や(ウ)のようなオプションにはたどり着けない可能性は大でしょう。

「思考枠」を広げて問いを問う

さて、1回目2回目を読んで、「これはまともに答える問いではないのだな」と勘づかれたかもしれません。いい傾向です。トップ5%に近づいています。

設定された問いにストレートに答えることが誤りというわけではありません。むしろ、それが標準であり、問いにストレートに答える力はぜひ身につけていって欲しいです。しかし、トップ5%の思考の特徴は、こうした標準の「思考枠」の外にあります。

思考枠は聞きなれない言葉だと思います。思考態度同様、私が考えた造語ですが、ひとまず、どんな範囲で思考するかなどの思考のフレームや、前提といったイメージで捉えてください。

そして、ひとたび思考枠が設定されたら、その思考枠の範囲で問いを分解したり、解決策を考えたりします。少し循環論法になってしまいますが、思考枠とはそういうことです。

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