日銀の追加利上げで加速、勝者なき「預金争奪戦」 1年定期で金利1%の大台を突破する銀行が続出
今後は定期預金金利も改定される見通しで、こちらは普通預金よりも激しい競争が繰り広げられそうだ。
特に高金利が飛び交うのは満期1年物。「長期の定期預金よりも、短期間のみ預けるニーズのほうが強い」(ネット銀行幹部)ことから、3年物や5年物よりも金利が高い「逆転現象」が生じている。
auじぶん銀行やオリックス銀行は今回の利上げ前から1年物の定期預金金利を1%に設定しており、東京きらぼしフィナンシャルグループ(FG)傘下のUI銀行も利上げ当日の24日、1年物を1%に変更した。3月末までに新規で口座を開設した場合は、さらに0.1ポイント上乗せされる。1%の大台を突破する銀行はさらに増えそうだ。
強まる不採算リスク
これまでの金利競争は、実店舗を持たず顧客との接点が限られるネット銀行が仕掛け人だった。それが最近は地方銀行でも預金金利を大幅に引き上げる動きが目立つ。とりわけ全国から口座開設が可能なネット支店に限って、高い金利をつける地銀が相次いでいる。
ある地銀幹部は「地元だけでは限界がある。県外からもできるだけ預金を集めたい」と話す。背景にはネット銀行への対抗意識に加えて、転居や相続などで預金が都市圏に移ってしまうことへの危機感がある。
預金金利の引き上げは、そのままコストとして銀行に跳ね返る。膨らんだ預金調達費用を賄うには貸出金利の引き上げや有価証券運用の利回り確保が必要になるが、金利交渉や運用資産の入れ替えが遅れれば、逆に利ザヤが縮小してしまう。
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