イーロン・マスクに敗れた「カラ売り屋」冬の時代 長期の上げ相場という逆風、放置されるイカサマ企業

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またヒンデンブルグ・リサーチが廃業を明らかにした翌日の1月16日には、同社がカラ売りのターゲットにしてきた会社の株価も軒並み上昇した。

インドのアダニ・グループは1.7%、カール・アイカーンのアイカーン・エンタープライゼスは8.5%、モバイル決済会社ブロックは2.7%、オンライン中古車小売りのカルバナは7.7%、ビデオゲーム開発会社ロブロックスは3.1%、それぞれ上昇した。

カラ売り屋がいなくなることは市場の悲劇

企業家出身で、イーロン・マスクやカール・アイカーンとも親しいトランプ大統領が就任したことで、カラ売りに対しては一段と強い逆風が吹く可能性がある。

しかし、カラ売りという投資手法やカラ売り屋の存在がなくなることは考えられない。アメリカの証券市場は、売り上げがゼロの企業でも上場できたり、SPAC(特別買収目的会社)のような無節操な裏口上場の仕組みが認められたりしており、日本の証券市場とは比べ物にならないほどいかさま企業が上場できる余地がある。

ニューヨークの企業分析会社、CLJリサーチのゴードン・L・ジョンソンCEOは、ヒンデンブルグ・リサーチの廃業に関するCNNの取材に対し「ヒンデンブルグは、政治的・金融的リスクが極大化する前に撤退することにしたのだろう。これはまったくの悲劇だ。なぜなら市場で不正調査をやる者がいなくなれば、詐欺の横行を許すことになるからだ」と述べている。

筆者も同感である。

黒木 亮 作家

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くろき りょう / Ryo Kuroki

1957年、北海道生まれ。早稲田大学法学部卒、カイロ・アメリカン大学(中東研究科)修士。銀行、証券会社、総合商社に23年あまり勤務して作家に。大学時代は箱根駅伝に2度出場し、20キロメートルで道路北海道記録を塗り替えた。ランナーとしての半生は自伝的長編『冬の喝采』に、ほぼノンフィクション の形で綴られている。英国在住。

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